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【30、バブイルの巨人】

  セシル達がエブラーナにやってきた時は、すでに巨人は復活して口から炎を吐き出していた。そしてその炎は地上を徐々に火の海にと変えていた。
「クソッ!万事休すか?!」
「どうしたらいいの?」
  エッジとリディアはフースーヤにすがるようなまなざしを向ける。
「巨人の内部に入れればよいが、とても近づけそうにない!」
「このまま地上を焼き尽くされるのをただ見ているだけなんて・・!!」
  セシル達の脳裏にあきらめの文字がちらつきはじめた。
                     ☆
  こうしている間にも地上はどんどん焼き尽くされていく。しかしあきらめるのはまだ早かった。バロンからの赤い翼が数機現れて、巨人に砲撃をしていた。先頭に乗って指揮をしていたのは、シドとニコラの父娘だった。
「コラ!あきらめるな!!」
「応援にかけつけたよ!!」
  2人の叫び声がハッキリとセシル達に届いていた。
「ありがとう、シド、ニコラ!!」
「あら、セシル!また飛空艇が現れたわ!」
  赤い翼だけではなかった。次に女性ばかり乗っている飛空艇が現れた。赤い翼に比べるといささか優雅なイメージの飛空艇だったが、それに乗っているのは、女性達とはいえ、屈強の戦士達だった。ただ1人細面の吟遊詩人を除いては。
「セシル、君に教えてもらった勇気を僕も見せに来たよ!」
「ギルバート、君の勇気は僕もよくわかったよ!!」
  ギルバートは以前のギルバートではなかった。彼の端正な顔立ちからは、優しさの中にも芯の強さが感じられた。
「あんちゃん!おいらを忘れてもらっちゃ困るぜ!!」
「長老様に助けていただきましたわ!!」
  また別の飛空艇が現れた。やや古めかしいが大きな飛空艇である。乗っていたのは、長老から石化を解いてもらったポロムとパロムの双子の魔道士だった。そのすぐ後ろにはミシディアの長老と彼らの両親、そしてミシディアの魔道士達だった。
「2人とも、石化が解けて良かった!また助けにしてきてくれたなんて!!」
  セシルは目頭を押さえていた。そしてさらに今度はやや無骨な形の飛空艇が現れた。乗っているのは、ドワーフの王ジオットと、その娘のルカ。そしてドワーフ達であった。
「ジオット王、あなた達はこの地上まで駆けつけてくれたのか?!」
「わしらドワーフとてこの星の立派な住人じゃ!何としてもこの星を救って見せよう!!」
「そうよ!だってこの戦いはみんなの戦いだものね!!」
  リディアはルカに手を振りながら言った。
「あれ、なんか緑色の幻想的な形の飛空艇がやってきたわ!」
「おい、あんなので立ち向かう気か?」
  エッジがまさかと思っていると、その飛空艇からは、砲撃の変わりにシルフ達が飛び出し、他の飛空艇の者達を回復させている。ただその飛空艇の戦闘に乗っていたモンク僧は、何やら必殺技のようなものを繰り出して戦っていた。
「あんた、死なない程度にしっかりおやりよ!!」
「ヤン、無理しないでね!!」
  同乗していたエプロン姿の女性と、美しいシルフの女王は、それぞれ対照的な声援を送っていた。
「ありがとう!ヤン、ランさん、ベル女王!!」
  セシル達はこれだけの人達の援護を受けて負けるわけには行かなかった。
                     ☆
  多くの人が駆けつけてくれたにもかかわらず、状況は依然として劣勢だった。
「うむ・・。このままではやられるだけだな?」
  飛空挺での戦闘に詳しいシドは、何か打つ手はないかと考えた。
「中から破壊すればよいとはいうものの・・。」
  しかしどこから入るのか全くわからない。シドは自分達が攻撃をしている間は、巨人の動きが止まり、炎を出さないことに気が付いた。
「そうか、あの口から入れるぞ!ニコラ、セシル達をこの飛空挺に乗せてあの口の所まで連れて行くぞ!」
「じゃ、他の人達にはその間巨人に注意を引き付けてもらえばいいわけよね?」
  ニコラは他の飛空挺に飛び移ってそのことを皆に伝えた。その間にシドは魔導船に自分の操縦する飛空挺を横付けし、セシル達を乗せた。
「じいさん、やってくれるぜ!」
「おう、しっかりやれよ!!」
  エッジとシドは軽く挨拶をかわした。セシルは少しとまどっていた。
「大丈夫かい?」
「何を言っておる!お前達は俺達の希望の綱だぞ!俺達の分までしっかりやらぬと承知せぬぞ!!」
  シドはセシルに彼らしいエールを送った。セシル達は何としてもこの戦いには勝たねばと意気込んで、巨人の口から潜入していった。

第31話 「よみがえった四天王」
第29話 「幻獣神の使い」に戻ります
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