【第103話】
砂漠の武装
カサーブの盗賊上がりの神父トールも
イシスまで同行することになった。トールが付いてきてくれれば癒しの魔法が使えるので心強いが親方は死に場所を求めているのでは、と言っていた。
親方が簡単にトールを仲間に紹介すると俺達はイシスへ向かうため、カサーブを出発した。
草原道をしばらく歩きロマリア街道をそれて歩くと徐々に遠くの景色が黄ばんできた。砂漠だ。
俺はイシスには行った事がない。まして砂漠での戦いも経験がない。
多くの仲間達も同様だろう。
砂漠にいれば、暑さでいるだけで体力を極度に消耗するし砂に足をとられ、思ったとおりに動くことができない。
歩くごとに徐々に地面に砂が多くなり、砂漠の中に入っていた。
砂の上を歩くと思った以上に体力を消耗する。実際に砂漠を歩いて、着いてきたことを後悔しているものもいるはず。俺も少し後悔している。
足をとられることもそうだが、今回は一応どのような戦いにも対応できるようロマリア兵士時代のように、鉄の鎧や盾など重武装をしていた。さらに剣以外に、もし軍隊ガニのような堅い敵があらわれたときに切りつけられるように小型の斧も持ってきた。リュックのような魔法使いも俺達の中にはいないから、堅い敵と戦うときは必要だと思ったからだ。
太陽が照りつけ、鎧や盾が暑くなる。
ゼネテスも俺に近いほど重装備をしておりいつも愛用している両手持ちの大剣に、鎧を着ている。ただし、鎧は魔法の鎧という一品で、鉄の鎧よりも守備力が高く、軽いのでロマリア兵士時代に仲間達と話したときはいつか魔法の鎧と盾に身を包みたいと話したものだ。
ただものすごく値段も高いが。
基本的な盗賊で使う道具、武装はシャンパーニの塔にある倉庫を各自使ってよいがないものは自分で買って揃えなければ行けない。
一方、親方は、軽装で砂漠の中を特に苦しげもなく歩く。鎧や盾のようなものは身に着けていない。またいつもは鎖かたびらを身に着けていることが多かったが今回は不思議な模様がかかれた薄手の服に雷神の剣を背負い、太陽の光を反射するよう、上から白いマントと頭にはターバンを巻いていた。
確か親方が着ているのは身かわしの服という、魔法がかけられている服だ。生地の厚さを極力薄くし、魔法により鎧並の守備力を高めるよう加工された服である。重い鎧を着ない分、俺達盗賊にとっては敏捷性も損なわれず素早さをいかした戦いができる優れものだ。
結構高価なんだよな・・・あれ。できれば欲しかったが、体力に下手に自信があったので俺はどちらかというと戦士系の武装にお金を使っていた。まぁ、ゼネテスのような魔法の鎧を買う金もなかったんだが。
涼しげに歩く親方を横目に、俺達は黙々歩いた。
第104話 火炎ムカデ
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