【第109話】
ゼネテスの悪い癖
俺達は無事イシスの街に着くことができた。
見張りの兵士に検問を受ける。俺達は傭兵志望であることを伝えた。俺達は城にやってきた。
城に入ると、すぐ横手に兵士の宿舎があった。俺達はそこに通された。
そこには女性がいた。年は三十前半というところだろうか。なかなかの美人だ。
「私が兵士の雇用管理を担当していますマヨイと言います」
「マヨイとは珍しい名前だな。でも良い名前だ」
ゼネテスがさっそく話しの腰を折った。相手が女だとこれだ。すぐにお近づきになろうとする。酒と女が大好きなゼネテスの悪い癖だ。
仲間のみんなもまた始まった、とうんざりした顔をしている。
だが、ゼネテスの強さはシャンパーニの塔にいる奴は誰もがある程度認めているので口を出すものはいなかった。親方は無表情だ。
「えぇ、私はイシス生まれではなく遠いジパングという
島国出身なんです。
そこは他の国の人から見れば変わった名前が多くて」
「ほぉ、ジパング出身か。
あそこには一度行ってみたいと思ってる。
だから、そんなに綺麗な黒髪なんだ」
マヨイをほめる。さらにゼネテスが何か言おうとすると親方がゼネテスの耳を引っ張った。
「いってぇ!」
「いい加減にせえ。
今は女をくどいている時間はない」
親方は強引にゼネテスの話をとめた。
「マヨイさんとやら、我々は傭兵としてこの街にやってきたんじゃ。
我々は雇ってもらえるのだろうか」
「はい、すいません。
その予定です。我々もこのイシスを守るのに必死なので
皆さんにはご協力を願い出たいと思います。
契約についてですが、前払いはできません。
それと皆さんの強さにもばらつきがあるでしょうから
本当はその方々によって能力にあわせた金額をお支払いするのがよいのでしょうが
一人一人の力を見極めている時間はこちらにはなく、
また先の戦いで評価できる部隊長も亡くなっています。
そのため、戦いが終わったら一律いくらくらという形になってしまいます」
「ワシらはそれでかまわん」
普段は金で動く俺達だが、今回は違う。
「今回の勝負のカギはロマリアからの増援が来るまで
持ちこたえられるかどうかにかかっています。
それまで、自国の兵士と皆さんでイシスを守ってください」
第110話 本音と建前
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