【第17話】
第一関門
眠り草をすりつぶし終わった頃、
リュックが闇市から戻ってきた。盗賊の七つ道具、それに消え去り草というどっちも貴重なアイテムを手にいれ、俺達は夜がふけるのを待った。
夜中、誰もが寝静まっている頃、俺とリュックは宿を抜け出した。街にはまったく人がいなかった。さすがにこの時間は誰も出歩かない。さらに酔っ払いの一人や二人はいるかと思ったがそれさえもいなかった。人っ子一人いない、そんな状態だった。
俺とリュックは足音をたてずに、すべるように城の近くまで移動した。暗闇に隠れ、遠くに目をこらすと城の正門の近くに二人の兵士がいるのが見えた。きっと夜のガードをしているのだろう。
「やっぱり正門からの突破は無理だね」
リュックが小声でささやく。
「あぁ、眠り草を使えば可能かもしれないが、
城の見取り図によるとその奥に、兵士達の待機場があるらしい。
もしそいつらに感ずかれたら手も足も出ねぇ」
「じゃぁ、予定通り城壁を登ろう」
俺とリュックは正門を避け、城の裏側に回った。外から見ると、城壁の上の二階にも兵士達の見張りがいるようだ。俺達は見つからないように城壁に沿って歩き、見張りがいないところをみはからって、先に鉤状の爪がついているロープを投げた。
爪は鉄で出来ていたが、投げて落ちたときに音が激しくなるため、回りに植物の樹皮をつけて、少しでも音が立たないように改良しておいた。それでも音がなるのは避けられなかったがどうやら見張りには気がつかれなかったようだ。鉤はうまく、城壁の縁にかかりひっぱってもロープが落ちてくることはなかった。
「よし、じゃぁ、俺が先に行く。
登り終わったら合図をするからそうしたらおまえも登ってきてくれ」
「うん、わかった」
俺はロープをつたって、城壁をよじ登り始めた。普通の人間だったら、これだけで重労働だが孤児院で育った俺達は日常の遊びとして高い崖を登っていたので、別に難しい作業でなかった。それにしても物音を立てずに進入をするわけで注意は払ったが。
俺は城壁を登り終え、回りに誰もいないことを確認するとロープを何度かひっぱり下にいるリュックに合図をした。
しばらくするとロープがまたピンと張る。リュックが城壁を登り始めたのだ。
俺は鉤がはずれたときに、すぐにロープをつかめるように手をそえていた。しばらくするとリュックが上がってきた。
「ふぅ・・・・・・まずは第一関門突破かな」
「これからが問題だ。
城の中に入るぞ・・・・」
第18話 進入
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