【第27話】

釈放の条件


牢屋で二週間の月日を過ごす。

俺たちは不自由ない生活をしていたが、

いつになっても裁かれなかった。不思議だ。

そんなときに、閉じ込められている牢屋に

俺たちを捕まえた老人が現れた。




「どういうことだ?」


「お主達は、確かに悪いことをやったようだが

 おぬし達は末端しかかかわってないようじゃったからな」


「でも、ボク達、金の冠を盗みましたよ。

  国宝を盗んだのに、お咎めなし・・・・ですか?」


「そうとは言っておらん。

  普通じゃったら、相当な罪になるじゃろう。

  じゃが、お主達は今回の事件、

  本当に末端しかかかわってなかったようじゃからな。

  それにお主達はまだ若い。

  若いからといって、罪が許されるわけではないが

  お主達には未来がある。それをずっと牢獄で過ごすのはどうかて?

  ワシは王に進言した。そして王も考えてもよいとのことじゃ」


「じいさん、王様に意見言えるほど、えらいのかよ」


「年寄りをバカにするでないぞ」


別にバカにしたつもりはないが。


「1つは王の計らいじゃ。

  王に感謝するんじゃな。

  もっとも、今後のお主達次第での釈放ということじゃが。

 

  もう一つ、釈放してもよいという条件が与えられたのは、

  例の追っている悪徳商人を捕まえることができたからの。

  大手柄じゃわい。

  長年追っていたが、なかなか尻尾を捕まえることができんでの。

  しかし今回、お主達のおかげで、

  商人率いる主犯格を捕まえることができたのも大きいのう」


「フン、俺達は敵に尻尾をつかませるような

  情けない盗賊ってことかよ」


俺はそっぽを向いた。


「ルーニ・・・・」


困った顔をするリュック。


「ふむ・・・・

  しかしお主達、確かにヘマをしでかしたが

  腕はなかなかのものだとワシは見た」


「あぁ?」


けなしたり、ほめたり、よくわからないじいさんだ。

じいさんは、ニヤリとした。


「じゃが、まだ荒い。

  しかし、鍛え方次第にとってはお主達は立派な戦士になれると思うた。

  だから、そこでワシは条件をつけて、王に進言した。

  王は良いとおっしゃった。

  それを受け入れられたら、お主達を釈放してもいい、

  ということじゃ」


「・・・・・で、その条件とはなんだ?」


第28話 運命の出会い

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