【第3話】

リュックの決断


鍛冶屋で昼間は俺たち孤児はずっと働いていた。

しかしその生活から抜け出そうと

俺はリュックに話をもちかけた。




またいつものように夜が来た。

みんなは疲れ果ててぐっすり寝ている。

俺も汚い毛布をかけて寝ていた。


「ねぇ・・・・」


昨日と同じ、リュックが話しかけてきた。


「ん?

 さっきの話か?

 決めたか?」


「う、うん」


リュックはいつも頼りなさげに返事をする。

俺の中ではリュックはたぶんここに残るというと思った。

そうすれば、俺達はまたいつもどおりにここで暮らすだけだ。


ここを抜け出したいというもちろん気持ちはあったが、

俺一人ではさすがに外の世界にいってものたれ死ぬと思っていたから

それを行動にうつしたことはなかった。


しかしリュックは予想に反して


「ルーニ、一緒に外の世界に行こう」


そう言ったではないか。


多少驚いた俺。


「ほんとに、行くのか?」


「うん、ずっと昼間働きながら考えていたんだけれど

 やっぱりボク、外の世界を見てみたい。

 一人だったら怖いけれど、ルーニと一緒ならやっていけそうだから」


「そうか・・・・・」


結構勇気あるじゃねぇか。

頼りないところもあるが、

こいつとなら、何とかやっていけるかもしれねぇな。


「わかった、じゃぁさっそく行くぞ」


「え?

 も、もう出かけるの?」


「そうだ。

 ここに残っていても仕方ないだろ」


俺は毛布をくるみ、周りの連中を起さないように静かに起きた。


「いくぞ・・・・」


「う、うん・・・・」


俺たちは毛布をかかえて部屋のドアを静かにあけて

出て行った。




「最低限、必要なものはいるな」


「うん・・・水とか食料は必要だよね」


「あぁ、あと、このボロ毛布もあったほうがいいだろう。

 しばらくどこかの街に着くまでは野宿が続くと思ったほうがいい。

 それと外には人間を襲う魔物とかいうものがいるらしい。

 だから武器も必要だな」


「手に入るかな?」


「水は水壺にあったから大丈夫だろ。

 食料も大体どこにあるか想像がつく。

 ただ、武器はここにはないから

 昼間の仕事場までいかないとないぞ」


「とりあえず、水と食料を調達しないと・・・」


「水はお前に任せた。

 食料は・・・・・俺にまかせろ。

 ちょっといったところに農家がある。

 あそこから拝借してくる」


「盗むの?」


「仕方ねぇだろ。

 最低限のものはそろえておかなきゃ途中でのたれ死ぬ。

 とにかく水はまかせたぞ。

 後で鍛冶屋の裏口で待ち合わせだ。

 わかったな?」


俺は小声でリュックに一気にまくし立てた。


「わ、わかった・・・・」


俺はリュックと別れ、近くの農家に盗みに入った。


第4話 番犬との戦い

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