【第36話】

別れの予感


激しいリュックとの戦い。

リュックは魔法をたくみに操って攻撃をしてきたが

接近戦に持ち込めばこっちのものだった。

俺はリュックの剣を弾き飛ばした。




「勝負アリ!!!」


主審の声が上がった。


「オォ!!!!!」


またも歓声が沸きあがる。


剣を弾き飛ばされたリュックは苦笑いをしている。


「やっぱりルーニは強いな・・・・」


「紙一重だったがな。

 最初のイオがマトモにあたったらそれで終わっていただろう。

 もし実戦なら最初で俺が負けていたよ」


「でも、これでようやく王宮戦士入りだね。

 王様にもお目通りできるし」


「あぁ。三年間長かったな」


戦いが終わった後、ロマリア王から剣を受ける授与式があるはずだ。

それがこの国で正式に騎士として認められる。


兵士見習いと王宮の騎士では生活もぐっと違うだろうし

ちゃんとした階級も与えられるだろう。


俺はそんな階級はクソ食らえだと思ったが

少なくとも階級という言葉があれば

これからは王と直に話すこともできるだろうし

城への出入りも自由になる。


そしてあの老戦士カンダタの行方さえ知れれば、俺はロマリアに用がない。

あのカンダタがいたらロマリアにとどまるだろうが、

いないのであれば、そのうちロマリアを出ることになるだろう。


ただ1つ気がかりなのはリュックはロマリアに残るであろうということだ。

リュックも決勝まで勝ち残ったということは

王宮騎士入りになるだろうし、そもそもリュックの夢は宮廷魔術師だ。

このまま、王宮に入るのは願ってもないことだろう。


俺達は孤児院からずっと一緒にいたが、そろそろ離れるときが来るのかもしれない。

目指すモノが俺達は違う。

そして俺に付き添うことで、また迷惑をかけることもあるかもしれない。

だから、別の道へ進む時期が来たのかもしれない。

そんなことを考えた。


第37話 瞳

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