【第38話】
王の間
剣の授与式。
俺は王に質問を問いかけたが、王の言葉と瞳により中断された。王の瞳は不思議な迫力があった。
王に老人のことをもっと尋ねたかったがこの場では無理だと思った。しかし「その話しは後にする」と言ったのだから今後尋ねられるだろう。その機会をここで無駄にしたくない。だから俺は黙って、剣を受けた。
俺やリュックを含める王宮騎士配属予定者はその後、王宮を案内された。
王宮の中は手続きさえ踏めば、町民も冒険者も入ることができる。以前王宮の中は忍び込んだ時に一通り回ったことがあるが、それ以外に、一般人が入れない正規兵の宿舎や宝物殿なども案内された。その中には以前俺達が盗みに入った金の冠が置かれている部屋もあった。俺はリュックと顔を見合わせ苦笑いする。
その後、宿舎で部屋が割り当てられた。最後に集会場に配属予定者を集められた。
「三日後に王宮に集合し、そこから城で仕事をしてもらう。
それまでは自宅に戻ってもよし、
荷物を持ちこみ、宿舎で過ごすもよし、各々の自由だ。
では解散」
今まで王宮案内をしていた騎士はそう言ってその場は解散となった。
俺は偶然リュックと同じ部屋が割り当てられたので見習い兵士の部屋から、王宮の宿舎に荷物を持ちこみそこで過ごすことにするか。
すると今解散を命じた騎士が、戻ってきて俺達に話しかけた。
「そうだ、忘れるところであった。
おまえ達二人は、王からお呼びがかかっている。
一緒に来てもらおう」
俺とリュックは顔を見合わせた。ついに・・・・・あの老人のことがきけるのか?俺達は緊張した面持ちで後についていった。
王の部屋の前には門兵が二人立っていた。
「王からお呼びがかかっている
闘技大会優勝者ルーニと準優勝者リュックを連れてきた」
「お役目ご苦労様です。王がお待ちです」
うち一人の兵士が受け答えする。
「ゼルグ入ります」
そう言って騎士は王の部屋に入った。この騎士の名前はゼルグと言うのか。しかし俺はその騎士の名前なんか頭に入らなかった。三年間待った。ようやく聞けるのだ、あの老人のことが。
第39話 遣い
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