【第40話】
見張り
シャンパーニの塔にカンダタ老人がいるという話を王がした。
俺達は王の招待状を預かり身支度をしてシャンパーニの塔へ向かった。
道中モンスターが度々襲ってきたがロマリアで正式な剣術を身に付けてさらに強くなった俺達を阻むほどではなかった。カサーブで一泊宿をとった後、今度は西に向かう。
道中道は険しく何個かの山を上り下りし途中野宿を一泊しながら進むと遠くに塔らしきものが見えてきた。
「あれがシャンパーニの塔かな」
「たぶんそうだろうね。でも何でこんなところに塔がたっているのかな。
この辺には街がないから、見張りの塔とかも必要なさそうだし」
「他国からの侵略にそなえてとかじゃないのか?
さらに西に進むと海だから、そこを監視するための見張り台とか」
「あとはこの辺に街を作る計画とかあって、
魔物を駆逐するために建てられたとか」
俺もリュックもいくらか考えたが、塔に行ってみればわかるだろうと思い塔に近づいた。
塔の入り口には二人の男が酒樽を椅子代わりにして座って話していたが、俺たちに気づき警戒をし立ちあがった。服装はかなり汚らしく、とてもロマリアの兵とは思えない格好だ。
「なんだ、おまえら」
二人のうち、一人が話しかけてきた。
「俺達はロマリアからの遣いだ。
カンダタに会いに来た。
王の紹介状もある」
俺は単刀直入に用件を言い、懐から封筒を取りだした。一人がその封を受け取り、日の光に当て中身を確かめる。
「ちょっと待ってろ」
そう言うと受け取った一人が塔の中に入っていった。もう一人は俺たちのことを一瞥するとまた酒樽に腰かけた。
俺達は何もすることがなく、ただその場でじっと待った。十分くらいすると先程の男が戻ってきた。
「ここに武器をすべて置いてもらう。
それから入れ」
俺達は肯き、剣を預けその男についていった。
第41話 シャンパーニの塔
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