【第45話】

リュックの決断


老人カンダタに2つの選択を迫られた。

1つはロマリアに戻り、兵士としての仕事をすること。

もう1つは老人カンダタの部下となり、

盗賊団の仲間となること。




リュックは驚いた顔で俺を見ていた。


「な、なんで?

 盗賊団なんてやめようよ。

 結局、情報を売るといっても

 この組織に入るということは人から盗むということをするということだよ。

 それなら、正式にロマリアの兵になってお給料をもらえれば、

 生活も困らないじゃないか」


「確かにおまえの言う通りだ。

 昔は食うのに困って盗みをしていた。

 人に誇れる仕事をするのならロマリアに戻るのもいいと思う。

 むしろ、おまえの場合は宮廷魔術師になるのが夢なのだから

 夢が実現するチャンスだ。だから戻るべきだ。

 だが、俺は違う。

 ロマリアという国はキライじゃない。

 しかし俺はおまえみたいにしっかりとした夢はないんだ。

 そして、ロマリアに戻っても結局は王のいいなりになるんじゃないかってな」


その後、俺はじいさんに尋ねた。


「それと、じいさん、あんたさっき、情報を売ると言っていたよな。

 ここにいれば世界各地にいくことができるのか?」


「無論じゃ」


「俺は世界を見てみたい。

 以前金の冠を盗んだとき、この仕事が出たら世界各地に旅に出たいと思っていたことがあった。

 俺は世界というものを知りたい。

 ここに入ればそれは可能か?」


「もちろんじゃ。

 そしてワシはお主よりも何倍も生きている。

 お主が知らない世界の話もいろいろしてあげようぞ」 


再度リュックと向き合った。


「俺はここにいて、世界を見てみたい」


「…」


「…」


「…わかったよ。

 君の気持ちは。


 でも、ボクはロマリアに戻る。

 ボクにはやっぱり盗賊団の仲間入りはできない。

 君とずっといたかったけれど、

 そろそろ自分の夢を追うために一人立する時が来たのかもしれない…」


第46話 親友との別れ

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