【第81話】

実験材料


魔女二人が変な薬を持ってきたが

俺は魔女に頭突きをくらわせた。

顔を蹴り飛ばされるが、薬を再度取りに行く時間稼ぎはできた。

俺は右肩をわざと痛みつけ、後ろで縛られていた手を前に持ってきて

ロープを噛み切ろうとした。




口は血だらけになり、口の中には血の鉄臭さとロープの苦さが充満した。

しかし徐々にではあるが、ロープが切れてきた。


一本、また一本とロープが切れていく。

もう…少しだ。

だがあと少しというところで、魔女達が帰ってきた。


”ったく、コイツのせいでまた薬を調合する羽目になったじゃないか”


”あら、こいつ、ロープを噛み切ろうとしていたみたいよ”


”あらまぁ…なんていう根性”


クソ…気づかれた。


”まぁ、いいわ。それよりいいこと思いついた”


”何?”


”さっき、私に頭突きをくらわせてくれたコイツに復讐してやる方法思いついたの”


”何々?”


”まずはコイツに薬を飲ませるのよ”


そう言うと魔女はラゴスに壺に入っている緑色の薬を飲ませた。


鼻をつまみ、無理矢理液体を流し込まれるラゴス。


「ラゴス!!!」


”さぁ、もっと飲むんだよ!”


さらに薬を飲まされたラゴスは咳き込む。


「吐くんだ、ラゴス!」


俺はラゴスに今飲んだ薬を吐くよう怒鳴った。


”えぇい!さっきからおまえはウルサイ!”


魔女はまた俺の頭を蹴り飛ばした。


「グハッ!!!」


鈍い音をして俺はまた石床に頭を叩き付けられた。


「ウゥ…」


苦痛でうめき声をあげる。


”ったく、コイツはさっきからなんなんだろうね。

 まぁ、これだけ痛みつけても死なないんだから、

 立派な兵隊ができると思ったんだけれど、

 気が変わったわ…。

 ラゴスとか言ったわね。

 早く薬の効果、表れないかしら”


俺がうめき声をあげながら、倒れていると

別のうめき声が聞こえてきた。


”ウゥ…ウゥ…”


まるで獣のようなうめき声だ。

その声は…ラゴスが発していた。


”薬が効いてきたようね。

 ほら、自由にしてやるから”


魔女はラゴスの手足の縄と鎖を外した。

ラゴスはまだうめき声を発している。


ラゴスを見ていると、徐々に肌に何かの模様が浮かび出てきた。

辺りが暗闇なので、肌の色まではわからないが、

ラゴスの異変に気がついた。


「おまえ…ラゴスに何をした!」


俺は痛みをこらえて魔女を睨む。


”コイツは人間じゃなくなったのさ。

 我が魔王バラモス様の配下になるため、自我崩壊させる薬を飲ませたのさ。

 そしてコイツは魔物になる”


「貴様…ラゴスを元に戻せ!」


”もう、無理さ。一度薬が聞いてしまえば脳は破壊され、元に戻ることはできない。

 そしてこの薬のすばらしさは、筋肉を増強すると同時に痛みを感じなくなる。

 だから人間であったときの何倍もの力を手に入れる魔物ができるのさ。

 先ほどおまえがあった灰色の騎士がいただろう。

 地獄の鎧と言うが、あれも私たちが作ったものさ”

 

「おまえ達が…何年も前から人身売買などしていた…組織…なのか!?」


”ほぉ…私達のことを知っているのか…

 そうさ、私達は何十年も昔から魔王様が降臨されるまでの準備をするため

 魔王様の下部となる人間達を集めていたのさ。

 

 ネクロゴンドに近い、このテドンを拠点として私たち魔女や、地獄の鎧、

 シャーマンなど人間から魔物を作り出して、来るべきときに備えていたのさ。

 テドンが落ちれば、さらに私たちの仲間が増える。フフフ…

 さぁ、おしゃべりはおしまい。

 ラゴス、こいつをなぶり殺しておしまい”


第82話 ルーニの涙

前ページ:第80話 「緑の液体」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります