【第114話】

誘惑の剣


夜のポルトガを歩いていると、突如、女性から声をかけられた。

彼女の名前はサブリナ。

サブリナ夫妻はバラモスに呪いをかけられていたのだが、

わたしがバラモスを倒したため、彼女たちの呪いが解けたそうだ。

なぜ、バラモスは彼女たちに呪いをかけたのだろう・・・・



「サブリナの家に引き継がれている魔剣。

 チェルト様・・・・・・・いや、チェルトさん

 この剣がそうです」


一本の剣をカルロスさんから受け取る。


「これは言い伝えなのですが・・・・・・・・

 この剣を手に入れるということは、王国を支配する・・・・・

 といわれていました」


「そんなにすごい力が隠されているの?」


「えぇ・・・・・

 この誘惑の剣には、人をまやかしに陥れさせる作用があります。


 ・・・・・・チェルトさんはご存じでしょうか?

 今は、各国の王がそれぞれの国を平等に支配しています。

 しかし、以前この大陸は女性によって

 全国を支配されていたのです」


「そうなんだ・・・・・・・・」


初耳だ。


「ある国の王を、一人の女性がこの剣の魔力で

 誘惑させて権力を握ったのが始まりでした。

 それから、数世紀の間、女性による国の統治が始まります。


 そして・・・・・・・・この剣を所有するため、幾度もの戦が行われました。

 そのため、罪もないたくさんの人たちが命を落としました」


「ひどい・・・・・・・・・」


「えぇ・・・・・・・悲しいことです・・・・・

 ・・・・・・ですが、サブリナの祖父が・・・・・その・・・・・・」


といって、彼女の方を見る。


「いいわ・・・・・あなた、言って・・・・」


「・・・・・サブリナの祖父が・・・・・・

 盗賊だったため、この剣を王家から盗んだのです。

 きっと、この世を支配しようと思ったのでしょう。

 でも、この剣を見て・・・・・・・

 何かを悟ったのでしょうか・・・・・


 自分が盗賊ならざるを得なかった、このような世界がいけないのだと・・・・

 盗むことによってしか生活ができない、今の時代がいけないのだと・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「彼女の祖父の遺書にはこのようなことが書かれていました」


この剣は、人を支配する力がある

しかし、その支配された世界は、闇の世界

この剣は善なるものが現れるまで、決して渡してはならぬ


「きっと、おじいさまもわかっていたと思うのです。

 もう、このような魔力によって支配された世の中ではいけないということが・・・・」


第115話 血の結婚式

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