【第118話】

見えない影


今朝の夢のおかげで、ちょっと寝覚めが悪いわたし。

でも・・・・・・暗い気持ちは、この辺にして・・・・・ 帰れるんだ。

故郷、アリアハンへ!



身支度も全部済ませ、出発することにした。


「はぐりんは、昨日みたいに、道具袋の中に入っていてね」


「うんっ」


この街に入るときもそうだったけれど、

はぐりんには、普段は道具袋の中に入ってもらっていることにした。


悲しいことだけれど、人間は、自分以外の生物を嫌う。

とくに、魔物を・・・・・・・


魔物にも良い魔物と悪い魔物がいる。

でも、たいていの人間は、魔物を悪魔の使いだと思っている。

私も・・・・・そのうちの一人だった。


しかし、今回の旅で、それが間違いと言うことを知った。


そうなんだよね・・・・・・・


テドンで、このことを話したと思うけれど

昔・・・・・・ずっと、昔は、魔物と人間は共存していたのだから・・・・・


それが、バラモスによる暗黒世界の統治が始まろうとして

魔物も凶暴化されていったのかもしれない。


こんなことを、考えていると1つの疑問が出てきた。


実際は、バラモスの名が知られたのは、

ここ20年くらい前のこと。


私が生まれるちょっと前。

そして、私が生まれたとき、お父さんは旅立った。


でも、魔物が人を襲うというのは、

もっと何十年も前から、あった・・・・・・


ということは、バラモスのせいで、

魔物達が暴れたというわけではないのだろうか?


それとも、他のだれかが、バラモスが生まれる前から、

あらかじめ、計略をしていたことなのだろうか?


バラモスを倒したにもかかわらず、そんなことを考えていたら、

少し不安になってきた。

・・・・・・・・・いや、考えすぎよ・・・・・・きっと・・・・・・・


「どうしたの?」


「え?

 あ、ご、ごめん・・・・・ちょっとぼっーとしちゃって・・・・

 狭いけれど・・・我慢してね・・・・・ごめんね・・・・・・・・・・」


はぐりんにはすごく悪いと思っている。

でも、とってもけなげな子。

すぐに、理由をわかってくれた。


「うん、いいよ。

 ところでさ、昨日から気になっていたんだけれど、

 この袋の中に入っている、きらきらしたものはなに?」


「え・・・・・きらきらしたもの?」


第119話 忘れられた冠

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