【第174話】

いざ、アレフガルドへ


竜の女王、ホビットさん・・・・・

出会いがあり・・・・・悲しい別れがあった。

悲しみに包まれたまま、私は異世界への入り口へ向かうことになった。


こんなところに、大穴が・・・・


私が今いるのは、

浮遊大陸ネクロゴンドの近くにある

ギアガの大穴と呼ばれる洞窟だ。

とても、人の足で踏み入れられる場所ではない。


ラーミアがいるからこそ、ここに来ることができた。

異世界へ通じる方法があるからと聞いて

ここまで来たんだけれど・・・・・・


地下三階から構成させる洞窟だったが

その最下層には、大きな亀裂が開いていた。


その亀裂から見えるのは、ただの闇。

異世界への道。

底が見えない、漆黒の闇。


「これ・・・・・・だよね・・・・・」


恐い物など、もうないと思っていたが

しかし、ここから、飛び降りるのに相当勇気がいると思う。


私は、ここから飛び降りたら、

また元の世界に戻ってこれるだろうか?

この闇には、そんな思いをさせるものがあった。


いったい、向こうには何があるのか?

それがまったくわからないのが不安で仕方なかった。


もしかしたら、これから行く場所は、人間はいないかもしれない。

魔物の巣窟かもしれない。

間違いなく、今まで現れなかった強力な魔族との

戦いもあるだろう。


もし、すでに、他の生物が皆殺しになっていて、

魔族による支配ができあがっていたとき、

私は、たった一人でその中に入っていて、

戦えるのだろうか?

勝てるのだろうか・・・・


恐くは・・・・ない。

ただ、あっちにいって、私一人でどれだけのことができるのか

それが、不安なのかもしれない。


・・・・弱気になるな・・・・・

自分にいいきかせる。


父さんなら、ためらわず、向かう。

正義のために。

たとえ勝てない相手でも父さんなら、いく。

私がいかなければ・・・・・・誰がいく・・・・


「チェルト,何を考えているの?」


肩に乗っているはぐりんが話しかけてきて

はっと気が付く。


「はぐりん・・・・・

 さっき・・・・・・あなたには、話したけれど

 私と一緒にくる必要ないんだよ。

 本当は、アリアハンにいるお母さんのところにいて、安全にしてほしい」


これから相対する大魔王ゾーマ軍との戦い。

魔王バラモス軍の戦いをも超える想像のつかない戦いになるだろう。

この子を守っていく自信はない。


自分の命さえ、守れる自信がない。

それほどの戦いになる・・・・・

だから、この子はおかあさんのところにいて欲しかった。


しかし・・・・


「なにいってるんだよぉ~

 ここまできて。

 さっきもいっただろ?

 チェルトと一緒にいるんだい!

 それにぃ~、友達、チェルトしかいないしぃ~」


「命を落とすかもしれないんだよ?」


「だって、お城であったきれいなおねえさんが、

 チェルトと一緒にいろっていっていたんだもん。

 なんかさぁ~よくわからないんだけれど

 そのお姉さん、懐かしいにおいがしたんだ」


「懐かしい?」


「うん!

 それでねぇ~、だから、チェルトの側についていないと

 いけないような気がするだよねぇ~」


お姉さんとは、はぐりんにキメラの翼を与え

ネクロゴンドから私たちを救ってくれた人のことだろう。


それが誰かはわからない。


しかし・・・・はぐりんの意志が堅そうだ・・・・・

仕方ない。


「はぐりん、いくよ!しっかりつかまっていて!」


「うん!」


自ら勇気を降り立たせて、私は、その闇に身を投げた。

 


第175話 未知なる可能性

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