【第188話】

賊と間違えられたチェルト


どうやら、私が原因のようだ。

好奇心とかそういうのでは触ったのではないんだけれど

密室に置かれた石をみるなり、私は吸い込まれるように

その石に触ってしまった。

石は、密室を壊すほどの激しい光と音を出し、

その音を聞いたラダトーム城の兵士達が集まってきた。


「おまえか!

 これをやったのは!」

 

兵士に激しく攻められる。

 

私はなんと言っていいかわからず、

しどろもどろしていると、

兵士は私の手に持っている赤い石を見る。

その石は、心臓の鼓動ように、光をはしったりしている。

この石、不気味だよね。

 

「こ、これは・・・・

 貴様、人間を装った魔物か!」

 

なんで、そうなるのよ!!

 

「このような、不気味な石を持っているなど

 どうみても怪しいぞ。

 ひっとらえろ!!!」

 

そりゃ、私だって、こんな騒ぎを起こしたのは悪いと思ってるわよ。

でも、魔物はないでしょう!

 

このまま、黙って兵士にひっとらえるわけにはいかない。

私は、兵士の腕をねじ上げ、抵抗を試みる。

 

「いてて!」

 

「私、魔物なんかじゃなんかないもん!!!」

 

「何?」

 

「隊長!」

 

その時、別の兵士の声が。

 

「こちらの宝物庫に安置されていたと思われるものがありません。

 何かがあった形跡はありますが、

 たぶん、その石なのでは・・・・」 

 

「貴様、賊か!」

 

賊じゃない!

って言おうとしたんだけれど

でも、やってしまったことは、それと変わらないのかもしれない・・・

私がうまく言えないでいると、

すぐに他の兵士が私の手を縄で縛り付けた。

 

仕方ない・・・・ここは、反抗できる立場じゃないもんね・・・・・

私は黙ってとらわれることにした。



第189話 ラダトームの言い伝え

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