【第195話】

2つの心


ラダトームの王様からオルテガの噂を聞いた。

それがお父さんかはわからない。


だが、その言葉は私から平常心を失わせた。



再度宿に戻る。

身支度はすべて終わっていて、王様に謁見したあと、

すぐに旅立つはずだったのが・・・・・・


「どうしたの?」


はぐりんが声をかけてくる。


「あのさ・・・・

 出発するの明日にしよう」


「え?

 どうして?」


「うんと・・・・・気分よくないの・・・・」


「大丈夫?」


「うん」


嘘だった。


でも、このままの気持ちじゃ、

とても戦えない。


今はどうしたらいいのかわからないんだ。


だから、今日は・・・・・・

気を落ち着かせないと・・・・


「ごめんね」


「ううん、僕はいいよ」


「・・・・・・・・・」


「じゃぁ・・・僕、外にいってるね・・・」


気をきかせて、はぐりんが部屋の外にそろそろと出る。


はぐりんが出た後、ベットに座り、考え込む。



・・・・・・・・・・・わかっているんだ。

考えたって結論がでるわけじゃない。


実際に会わなきゃ、本当かどうかなんかわからない。


ただ、もう完全にあきらめていたから・・・

心の整理がつかないんだ。


また、生きていると信じて、

そして・・・・・・最後に裏切られるのが怖い。


あんな思いを・・・・・・もうしたくない。


でも、その噂を聞いて、やはりまだ生きているという

その気持ちにもすがりたい。


その二つが私の中で戦っていた。




第196話 心の中のミリー

前ページ:第194話 「オルテガの噂」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります