【第205話】

凍てつく波動


魔王の影の絶対的な魔力に服従する私。

私の精神力を上回る、死の呪文だった。


どんなことでもあきらめない。

あきらめたくない。


しかし、苦痛はそれ以上に大きい。


い、いやだ・・・・絶対に屈服するのはい・・・や・・・・・・・・・




”さぁ!死を受け入れるのだ!”


「い・・・いや・・・・・

 ・・・・誰が・・・・

 おまえなんかに・・・・絶対に・・・・負けない・・・・」


”強情な奴だ”


”では、貴様、そのものを、私が取り込んでやろう”


闇、死、でかたどられている魔王の影は、

その霧で私を覆い隠そうとする。

死の世界へ引きずり込もうと。


「イヤァァァァァァ!!!!」


私は絶叫が響き渡る。


「チェルトぉ~~~~!!!!」


はぐりんがその様子を見て泣きじゃくる。


「は、はぐりん・・・・

 あなただけでも・・・逃げて・・・・・

 ここは私が・・・なんとか・・・・する・・・・から・・・」


かすかな霧の隙間から、私はそう言い、

そして、事切れた。


そして、闇は、私を完全に覆い隠した。


”ようやく・・・・・私の一部になったか・・・・”



「チェルト、チェルト!!!!!!!!!」


その時である。

私の体が、魔王の影で覆い隠されたと同時に

はぐりんの身体が輝きだす。


その輝きは、まるで虹の光。


”グッ・・・・・グワァアアアァア!!!!!!!”


はぐりんから発せられる光は

魔王の影を溶かすように、広がっていく。


”き、貴様・・・・・・

 それは、すべての魔法を無力化する、凍てつく波動・・・・・・


 いったい、何者・・・・・・


 ま、まさか・・・貴様は・・・・・・・・”



「チェルト!!!!!!!!!!」


はぐりんの輝きはさらに増した。


”グワァアアアァア!!!!!!!ヤメロォォォォォ!!!!!”


魔王の影は絶叫を残し、光によってかき消されてしまった。




第206話 隠された力

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