【第227話】

勇者の盾


ついに見つけた、伝説の防具の1つ、勇者の盾。

その盾は強い輝きを発していた。

盾の美しさに見とれていると、身の毛もよだつような

咆哮が聞こえた。



後ろを振り返ると、先ほどのサラマンダーがいた。

無音状態で戦っていても、その圧倒的な強さがあるのに・・・・


また、サラマンダーが咆哮をあげた。


う・・・うぁ・・・・・


か、体が動かない・・・・・


恐怖なのか・・・

それもある・・・・圧倒的な強さをほこる、サラマンダー。


しかし、それだけでない。


・・・・・・ドラゴンの咆哮は、その声の恐ろしさだけでなく

魔法としての効果があり、精神を崩壊させる要素もあるのだ。


精神が弱いものだったら、その声を聞いただけで

命を失ってしまうだろう。


動けない私に向かってサラマンダーは炎をはきかけようと

口をひらいた。


「チェルトォ!!!!」


同時にはぐりんが、絶叫する。

すると、はぐりんの体が虹色に光り、

私とサラマンダーにその光が包み込む。


サラマンダーははきかけた炎をやめ、のた打ち回る。


と同時に、その光を帯びた私もドラゴンの咆哮の魔力から解け

体が動かせるようになる。


すぐに勇者の盾を手にもち、稲妻の剣を抜き放つと跳躍し

サラマンダーの頭に稲妻の剣を突き立てた。


痛みと怒りで狂うサラマンダーが

絶叫とも咆哮とも聞こえる身の毛のよだつ咆哮を再度あげる。

しかし、はぐりんの光が、私を守ってくれた。


再度、サラマンダーに稲妻の剣を抜き、また突き刺す。

サラマンダーは私を振り払い、地面にたたきつける。


「きゃあぁあ!!!」


そこへ、サラマンダーが激しい炎を浴びせかける。

私はとっさに左手に持っていた勇者の盾をかざす。


勇者の盾は、まるで魔法に守られているかのように

サラマンダーの炎を跳ね除けてくれた。


すごい・・・・・


第228話 失われた記憶

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