【第300話】

ラダトームへの帰還


大魔王が2年がかりで破壊したという幻の神剣の王者の剣、

ルビス様が作られたと言われている妖精の笛、

この2つをゆずりうけた私。

マイラの北の海を渡ると、そこにルビス様がとらわれている。

しかしルビスの塔に渡るには、凶暴な海の魔物を退けなければならない。

そして、塔には大魔王の魔物達の1/3が守っている。

きっとその数はメルキド対戦と同様、1000を越えるだろう。




アレフガルドの創造神、精霊ルビス。

大魔王を倒せば、きっとルビス様にかけられている呪いはとけると思う。

だが神でさえかなわなかった大魔王の存在。

まずはルビス様の呪いを解くことが先だと思われた。

どうにかルビスの塔に渡る手段を得なければ。


しかしマイラの村の船ではお世辞にも頑丈とは言えず

とてもだが、大海原を渡ることなどできない。

一度もいったこともないのだから瞬間移動のルーラも使えないし、

魔法力を開放して、空中で静止や向きをかえることができても、

空をとぶことはできない。


私は村長さんの家を出てからこれからどうするか考えた。


「失礼だが・・・・チェルト殿・・・・・であられるか?」


突然声をかけられた。

振りかえるとそこには、温和なマイラの村には似つかわしくない

ごつい戦士らしきものが3人、それと魔法使いらしき人物がいた。


「えぇ、そうです。あなた方は?」


「これは失礼いたした。

 我々はラダトームから来た者であります。

 ラダトーム王の命によりあなたをお迎えに参りましたが、

 ようやくチェルト殿にお会いすることができました」


一人の戦士が私の前にひざまついた。


「ラダトーム王が?」


「はい。ラダトーム王がぜひともチェルト殿に話があるとのことでございます。

 そのため、我々はマイラまで来ました」


魔法使い風の男が、今度は戦士の変わりに答える。

いったいなんだろう。

ラダトームはメルキドと同じ、大きな戦があったはずだ。

戦に勝ったとはいえ、大きな戦の後、きっとたくさんの負傷者をかかえているはず。

そんな緊急時なのに、私を探すためにマイラまで兵を派遣するとは

よっぽどの緊急のことなのだろうか。


「わかりました。どんな用件かわかりませんが

 一度ラダトームに戻りましょう」


私が瞬間移動の魔法を唱えようとすると


「それにはおよびません」


魔法使いらしきものは杖をかざし

その杖から光の粉が出た瞬間、私達の姿はマイラから消えた。


第301話 2つの石と伝説の神器の過去

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