【第360話】

はぐりんが語るスライムの歴史4


海に住むスライム達は外敵から身を守るため、

自ら生きる道を見出したんだ。

海を行く者もあれば、一方砂漠に行く者もあった。


四方に散ったスライムの群れで西に向かったものは

食べ物がない砂漠を横断しつづけた。


途中、水も無くひからびて命を落とすスライムも少なくなかった。

それでもスライムは半数以上が砂漠の横断を成し遂げ

山のふもとにたどりついたんだ。


そのふもとで多少の草や木の実があり、飢えをしのいだのだけれど

スライムの群れを満たす食べものがなく山をさらに走りつづけた。

そのうち、山頂に道が続くのでどんどん登っていくと寒くなってくる。

草もなくなってきて、辺りは針葉樹ばかり。


「さ、寒いよ〜」


「暑かったり寒かったり、ボクたち、変な場所しか行ってないじゃん!」


「といって今から戻るわけにもいかないし…」


しかし今からまた砂漠をまた横断するわけにもいかない。

スライム達は先に進むしかなかった。

その時、針葉樹の間にキラキラ光るものが落ちていた。

一匹のスライムがその光るものを見つけた。


「これ、なんだろ…」


それは人間が使う金貨だった。

しかしスライムに人間の世界で流通しているものがわかるはずもなく

他の仲間達を呼んでみることにした。

スライム達がわらわらと集まってくる。


金貨のまわりには、馬車が横倒しになっていて

人間が使っていた荷物も落ちていた。

それはキャラバンのもので、砂漠を横断している最中に

何かの事件に巻き込まれて人間に置き去りにされたものらしかった。


荷物の中に、食べ物があるかと探したスライムは

わずかな食料を手に入れたが、

それよりスライムが興味を引かれたのは

荷物の中に混じっていた厚手の服だった。

それは人間が身かわしの服と呼んでいる服で

軽いながら、厚手の生地で組まれていてスライム達は

寒さのあまり、その服にくるまった。


「わぁ〜い、あったかい〜」


「中がふかふかする〜」


「これで寒さがしのげるぞ〜」


一つの身かわしの服に何匹ものスライムが寄り添いながら入り、

寒さを凌ぎ移動を開始しはじめた。


スライム達は山を登り始めた。

しばらくすると、遠くで何かの声が聞こえてきた。


スライム達は目をあわせると、声のする方へ導かれるように進んだ。

そこには洞窟があり、スライム達は恐る恐る洞窟の中に入っていく。


洞窟の中では、トロルがつるはしを持って岩を掘っていた。


「な、なに…あの怖い生きものは…」


スライムは初めて見るトロルに恐怖をして岩影で震えていた。


トロル達は銀の石と呼ばれるものを魔王から掘り出さすように命令され働いていたんだ。

銀の石というのは、チェルトが身に付けている

勇者の盾の素材のミスリルのことなんだけれどね。


トロル達はつるはしでミスリルの鉱脈を探していたのだけれど

あまりに非効率だったため、魔法の玉を爆発させたんだ。3つもね。

するとその威力が強力すぎて、ミスリルが溶けた液体が

トロル達に振りかかり、トロル達は死んでしまったんだ。


さらにミスリルの液体はスライム達にも襲いかかってきた。


「きゃああぁああ!!!」


スライム達はみかわしの服に逃げ込んだ。


「あついよおぉ!!!!!」


ミスリルの液体はすべてを飲みこみ、

そして、いっさいの音がしなくなった。


ミスリルの液体がやがては冷えて固まり、

辺りはミスリル一面の床ができあたったんだ。


ミスリルの床には、スライム達の形をした

スライムの像がいっぱいできあがった。

そのスライムのミスリル像はしばらく動かなかった。


しかししばらくすると、物音がした。


ピキッ。


ピキッ、ピキッ。


意識を取り戻したスライム達は

必死に自分の体をミスリルの床から引きはがそうとしてもがいた。

みかわしの服は熱を遮断し

服に包まったスライム達は幸運にも命だけは取りとめることができたんだ。


そのうち、一匹のミスリルに包まれたスライムがミスリルの床から

身をはがすころに成功して、他の仲間達を助けた。


「ふぅ…こわかったよぉおぉ」


「あれれ…なんか、ボク達の体、銀色になってるよ」


「ほんとだ!

 しかも体が硬くなってる」


偶然が重なり合って、生き延びることができたミスリルに囲まれたスライム達は

メタルスライムと呼ばれるようになったんだ。


第361話 はぐりんが語るスライムの歴史5

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