【第390話】

再トロルキング戦


大魔王の城の中へ入った私は慎重に足を運ぶ。

分かれ道を進み突き当たり、そこに蠢く影が見えた。

私は物音を立てないようにしばらく様子をうかがう。




この城に味方がいるとは思えない。

となると答えは1つ。


待ち伏せしているのだろう。

影からしてかなり巨大な魔物のようだ。

しかしそれほど賢い魔物ではないようである。

気配は消せないようだし注意深く見れば

そこに待ち伏せしているのがわかる。


曲がり角を私が曲がろうとしたら有無も言わさず襲いかかってくるだろう。

相手に襲われるのを待つ義理はない。

できるだけ消耗をさけて、大魔王ゾーマのところに行かなければ。


私は音を立てないよう、炎のブーメランを腰から引き抜く。

強い敵には一撃必殺のものではないにしろ、奇襲には充分使える武器だ。

私は狙いを定めて直角になっている曲がり角を曲がるようブーメランを投げた。


"ギャオオォ!!!!"


炎のブーメランが見えない敵に見事命中し、同時に辺りが炎につつまれる。

私は魔物の絶叫と同時に曲がり角に踊り出て

巨体を見つけると王者の剣を振りかざし、一撃のもと首をはねた。


首をはねられた魔物は血しぶきをあげて音をたてて崩れ落ちる。


この魔物は…沈黙の洞窟で戦った紫色のトロルだ。

真正面から戦えば強敵には違いなかっただろうが

不意を突き無傷で倒せたのは幸運だった。

私は炎のブーメランを回収して先に進む。




沈黙の洞窟で戦ったヒドラ、紫色のトロル。

次に来るのは…そんなイヤな考えを思いついたとき…

魂を砕くようなおたけびが聞こえた。


第391話 再サラマンダー戦

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