【第399話】

床トラップ


三対の悪魔型モンスターを退けた私は先に進むことにした。

最後に戦った魔物が使った魔法を思い出すと冷たい汗が流れる。

しかし二度も魔法を受けたことによって、対処法がわかってきた。




前を見ると、床に模様がたくさん描かれている。

そして、模様の横に底が見えないたくさんの穴がある。


床の模様はルビスの塔で見たものと同じで、

確か、模様を踏むと動きを変えられるものだと私は記憶している。


間違った方向に進むと、穴に落ちるというものだろう。

落ちた後はどうなるかわからないが、落ちるつもりはない。

試しに踏んで、それを確かめて進むというのは危険である。

私には万が一の失敗も許されない。


それにしても模様は床一面に広がっていて、見ているだけで気分が悪くなる。


「何かの法則性があるのだろうけれど」


ルビスの塔では敵を退けている最中に床を踏んでしまったので

この床のことを深く解析する余裕がなかった。


模様を改めて見ると、黒い三角と白い三角が隣同士に並んでいる。


「…試してみるか」


私は1つの案を思いつき、実行に移すことにした。

まずマッピングに使っている紙を取り出し、魔物に不意打ちを受けないよう気をつけながら

目の前に広がる床の紋様を紙に写した。


次に先ほど倒した悪魔型の魔物の死体のところまで戻り、魔物が握っていた小刀を手に入れる。

そして模様がある地帯に再度行き、手前で膝をついた。


小刀を床に置く。

そして狙いを定め小刀を模様の方に思いっきり滑らせた。

勢いがついた小刀は直線で進んでいき、模様の地帯に行くと

カクカクと複雑な動きをして、そのうち穴に落ちていった。


私はその軌跡を脳裏にやきつけ、先ほどマッピングした紙に矢印を記述する。


滑らせた小刀には常に前に進んでいるはずである。

しかし複雑な動きをして最後に穴に落ちていった。


黒と白の三角の模様と小刀の進んだ方向を紙で見つめながらその法則性を探す。

しばらく試行錯誤するとひらめいた。


「なるほど…そういうことね」


どうやら黒い三角の方に注目し、

物質の動きが黒い三角形の方向に進むと前に進んでいるようである。

そうすれば、他の方向に進むのも逆算できる。


「黒い矢印の方向に移動すれば、前に進む…」


私はそうつぶやきながら、模様に足を踏み入れた。

そして黒い矢印の方へ一歩を踏み出すと

無理矢理体の向きが変えられ、前に進んだ。


予想があたったようである。

私は注意深く模様地帯を一歩一歩進み、どうにか模様床を抜けた。


第400話 ドラゴンゾンビ戦

前ページ:第398話 「バルログ戦2」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります