【第403話】

ソードイト戦3


意表をつくことで、魔物の右腕を切り落とし致命傷を与えた私。

しかし魔物は回復魔法を使い、回復してしまった。




どうする。他に相手の隙をつく攻撃はないか。

焦りを感じながらも同時に素早く思考する。


光の鎧とブルーメタルの兜がどれほどの強度かわからないが

玉砕覚悟で、相手の攻撃を体で受け、剣を当てるという方法もある。

しかし問題はブルーメタルよりも魔物が持つ魔力剣が強度が高かった場合

私の体は切り刻まれる。そのようなリスクは避けたい。


勇者の盾を捨て、稲妻の剣を使った二刀流で挑む。

いや、これもダメだ。確かに意表はつくだろうが

左手で剣を扱うのは思いの他難しい。


もちろん、普段の剣の稽古で左手も鍛えることから

左手で剣を扱えなくは無いのだが、利き手とは比べるまでもない。

そもそも相手は六本の剣を所有している。

一本から、二本に変えただけでそれほどは変わらないだろう。

むしろ、防御がおろそかになりやられる可能性が高い。


二刀流…いや、まてよ。

これなら…

私はキッと顔を引き締めると、王者の剣を構えながらすべるように魔物に立ち向かった。

迎撃しようと身構える魔物。

王者の剣を思いっきり、魔物に叩きつける。

魔物は最初と同じように三本の剣を使い、王者の剣を受け止めた。


今度は魔物が残りの三本の左手を使い切りつける。これをやはり同じように私が盾で受け止めた。

硬直した力の押し合いが始まる。


私は突然、王者の剣と勇者の盾を同時に手放し、腰を落とした。

戦闘中に剣と盾を放棄するのは本来自殺行為だが

支えられている力が急になくなり、魔物は前のりに倒れかけてきた。


私は腰を落とした状態から何も持っていない両手で稲妻の剣を引き抜き

足と腰の力を使い、思いっきり真横に剣を振るった。


轟音と共に魔物は腰から切断され、上半身と下半身が別々に吹き飛ばされていく。

そして魔物の目から赤い光りが消えた。


第404話 アークマージ戦

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