【第93話】

油断


予想していたより、すんなりバラモス城に潜入することができた。

だが、おかしい。

魔物はいない。

物音はしない。

それにこの光景は・・・・・・・・


城の入り口に今、私はいる。

きっとなんかの罠があるに違いない・・・・と踏んではいたのだが・・・


目の前にある光景は、廃墟の街、テドンだった。

そう、あのテドン。

しかも、訪れたときと同様、人の死体がごろごろと転がっている。

城の外から匂っていたこの臭いは死体が腐った臭いらしい。


一生忘れることのない臭い。

それとこの悲しみ。


あの時、私は一人でこの街の人を埋葬した。

バラモス退治への決意が強まったのもこの一件以来だ。

もう、このような悲劇は二度とみたくない・・・・・・・

その決意が、私を強くし、戦い抜くことができた理由だ。

しかし、また見てしまった・・・・・・・・・

涙がこぼれる・・・・・・


「まったく・・・・・同じ光景?」


つい、心に残っていた事件を目の前にしていたから、我を忘れていた。

冷静に考えれば・・・・・・・・

そんな光景、あるわけない!

だが、我に返ったときは遅かった。


「きゃぁぁぁ!!!」


急に私の全身が燃え上がった!


第94話 第一の刺客

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