エクスクルーシブ講座 4項

 

まず最初に 4項の課題を簡単に説明しておきます
前回までは基本的なエクスクルーシブの使い方や 各パラメータの意味などを
例を交えて解説してきました
「エクスクルーシブの使い方」という点では ここまでで十分にお判りいただけるのですが
さまざまな種類のエクスクルーシブの「効果・意味」などを知っていただく為に
ここから色々解説していきたいと思っています

4項の課題は エクスクルーシブの「種類・効果・意味」を知ろう☆ です
…では行きましょう



◆ よく使うエクスクルーシブ


ということで 普段MIDIデータにこれらのエクスクルーシブだけは入れておきたい
と言ったようなものを紹介・解説して行きます

※ちなみにエクスクルーシブの記述ですが 「F0h 41h 10h 42h 12h」と
「チェックサムと エンド・オブ・エクスクルーシブ」は省いています
ただし実際は入力するので気を付けて下さい☆

…ただし例外もありますので 記述しているものもあるからよく確認してください



◆ 各リセット信号

…とこれは改めて書く必要もないですね 第1項を参照にして憶えましょう☆

注意点だけ挙げておきます 
「各リセット信号」はMIDIデータに対して1つしか入力しないようにしましょう

エラーなどは出ることがないですが 音源の初期状態を途中で変更するのは
データ的に普通はしないことです

基本的にリセット信号とはMIDIデータに対して これから使用する音源の
指定を行うエクスクルーシブなので MIDIデータの最初に書くようにします
つまり このリセット信号以前に入力されていたコントロールチェンジの情報などは
リセット信号を送った時点で 初期化されますのでそのつもりで使いましょう

このエクスクルーシブと次のメッセージの間には 50ms(0.005秒)以上の間隔を空けること

4分音符くらいの間隔であれば十分です(テンポを早く設定していても大丈夫です)



◆ システム・モード・セット

88,88PROの音源での音源のリセット信号です
基本的に「GSリセット」でも通用するのですが 88,88PRO音源の機能である
「システム・モード」を設定する為のリセット信号も兼ねています

「シングル・モジュール・モード(MODE-1)」 と 「ダブル・モジュール・モード(MODE-2)」
のどちらかを設定できます


◇ 「シングル・モジュール・モード(MODE-1)」とは

音源を32チャンネルのマルチティンバー音源として使用するという意味です
つまり エフェクトを設定するエクスクルーシブをAパートに記述しても
その効果がA,Bパート(32チャンネル)全体にかかるようになるということです

マルチティンバー音源とは 演奏するパートが複数存在する音源
という意味です この場合は32パートの音源ということです


◇ 「ダブル・モジュール・モード(MODE-2)」とは

音源を2台の16チャンネルマルチティンバー音源として使用するという意味です
つまり エフェクトを設定するエクスクルーシブをAパートに記述すると
Aパート(16チャンネル)にだけ その効果がかかるということです

(1台で2台あるような使い方が出来ると言うことです
ただし 1台につき16パートまでしか演奏・制御できません)


両方の「システム・モード」には長所もあり 短所もあります
それについてはこれから関連のある項目の中で解説していきたいと思います

この「システム・モード・セット」は 「GSリセット」等と同じく 次のメッセージとの間に
50ms以上の間隔を空ける必要があります

これは「音源全体の設定を初期状態に移行するための時間」として必要なのです


◇ エクスクルーシブの記述方法と使用例


使用例1 : 「シングル・モジュール・モード」にする

「F0h 41h 10h 42h 12h 00h 00h 7Fh 00h 01h F7h」


使用例2 : 「ダブル・モジュール・モード」にする

「F0h 41h 10h 42h 12h 00h 00h 7Fh 01h 00h F7h」



◆ マスター・ボリューム(最小値:00h~最大値:7Fh)

MIDIデータ全体に対するボリューム(音量)を設定するエクスクルーシブです
データ全体にかかるわけですから 数値を小さくするほど全体の音量が小さくなります
主にフェードインやフェードアウトに使うのが一般的でしょう

(曲全体をエクスプレッションで音を小さく (大きく) していくよりも手間がかかりませんし容量節約にもなります)


◇ エクスクルーシブの記述方法

アドレス「40h 00h 04h」と データ「??h(最小値:00h~最大値:7Fh)」です


※ 備考

この「マスター・ボリューム」というのは 88,88PRO以前の音源で
使われていたアドレスを記述しました
88,88PRO専用の「マスター・ボリューム」のアドレスもあるのですが
どっちをエクスクルーシブで記述しても効果は一緒です

初期値は120(78h)となっていますので 最大で鳴らしたい方は
この設定でデータの部分に「7Fh」を入力すると良いでしょう



◆ マスター・チューン(438Hz~445Hzまで選択可能)

MIDIデータ全体に対するピッチ量(微妙な音のチューニング)を設定できます
低い数値を入力するほど 全体のピッチが下がります
耳コピをするときなどの元の曲の再生速度などの誤差によってピッチがずれているものもあり
そういったデータをコピーするときに 「マスター・チューン」を使ってピッチを
合わせると言った使い方が出来ます


◇ エクスクルーシブの記述方法

アドレス「40h 00h 00h」と データ「??h ??h ??h ??h」です
データ部分は「-100.0~+100.0」までの範囲で 詳細は「備考」に記載します


※ 備考

データの部分です
445Hz = 「00h 04h 0Ch 04h」
444Hz = 「00h 04h 09h 0Dh」
443Hz = 「00h 04h 07h 06h」
442Hz = 「00h 04h 04h 0Fh」
↓↑
438Hz = 「00h 03h 0Bh 01h」

441Hz~439Hzのアドレスは省きました
「インプリ」の参考資料という項目にすべて掲載されているので
そちらを参照してください

この「マスター・チューン」は0.1セントの細かさでチューニングが出来ます

「セント」というのは
「その音から半音までの音程の間を100等分したチューニングの単位」です

RPNにも「マスター・ファイン・チューン」というものもあります
こちらは「0.0012セント」と言った更に細かい設定ができますが
全体にはかからずに そのパートにかかる…ということだけ憶えておいてください

初期値は440Hzですが クラシックなどの演奏で大ホールを使うときでは
442Hzに設定するのが最もポピュラーと言えます
最近のJ-POPでは高いチューニングになりつつあるようです…




◆ ピッチ・キー・シフト(最小値:28h~最大値:58h)

指定したパートの音階を指定したピッチに合わせる為のエクスクルーシブです
たとえば「ピッチ・キー・シフト」の値を「58h」に指定した場合 楽譜上のドの音が
2オクターブ上のドで鳴らされることになります
あまり使用することは無いかもしれませんが 普段MIDIデータの中には入れて置いた方が便利です


◇ エクスクルーシブの記述方法

アドレス「40h ??h 16h」と データ「??h(最小値:28h~最大値:58h)」です
アドレスの2バイト目は指定するパート番号です 値に付いては備考に記載します
データの部分は 64(40h)をピッチ0として 上限が24音(88(58h)で2オクターブ)
下限が24音(40(28h)で2オクターブ)まで設定できます

…初期値は当然64(40h) つまりピッチ0となっています

※ 備考

アドレスの2バイト目ですが パート番号を入れてやる必要があります
パート番号を記述しておきますので しっかり憶えましょう

パート1 … 「11h」
パート2 … 「12h」
パート3 … 「13h」

パート9 … 「19h」
パート10 … 「10h」
パート11 … 「1Ah」
パート12 … 「1Bh」

パート16 … 「1Fh」

となります

…初期値は当然64(40h) つまりピッチ0となっています



◆ リズム・パート・マップ設定(任意のパートに設定可能)

GS音源・88,88PROでは 1つのAパートに「ドラム・マップ」を2つ作ることが出来ます
このエクスクルーシブは リズム・パートを何番のパートに割り当て ドラム・マップの
1と2 どちらを使用するのか …を設定します
GS音源では標準でパート10に「ドラム・マップ1」が設定されていますので
ドラム・マップ2を使うときには このエクスクルーシブを使うということです


◇ エクスクルーシブの記述方法

アドレス「40h ??h 15h」と データ「??h(00h,01h,02h)」です
アドレスの2バイト目は指定するパート番号です 値に付いては備考に記載します
データ部分の「00h,01h,02h」についてですが

「00h」は楽器のパート
「01h」はMAP1を使うリズム・パート
「02h」はMAP2を使うリズム・パート

という意味になります


※ 備考

アドレスの2バイト目ですが パート番号を入れてやる必要があります
パート番号は「ピッチ・キー・シフト」と同じなので そちらを参照してください
例えばパート11にMAP2を使うリズムパートを作りたい場合は
「F0h 41h 10h 42h 12h "40h 1Ah 15h" "02h" ??h(チェックサム) F7h」
と入力すれば良いです

このエクスクルーシブの前に入力されていたコントロールチェンジや
NRPNは すべて無効とされてしまいますので
まず最初にエクスクルーシブを記述し その後でコントロールチェンジなどを
入力してやると良いです



ということで 他にも「良く使うエクスクルーシブ」はあるのですが
まぁ とりあえずこれだけ知っていれば十分なので 後は省いておきます
要望があれば「おまけ講座」で書くかもしれません

さて エクスクルーシブの便利さが判ってきたでしょうか!?
次回はもっと重要な(私はこれこそMIDIだと思ってます) リバーブ・マクロの解説をしたいと思います

この設定はMIDIを作るに当たって かなりの重要なものであります
これを設定するだけで いままでのなんでもなかったMIDIデータが まったく別のものに
変化してしまう場合もあります(場合によっては逆効果もある)

…それでは 4項を終了します 次の5項に移動しましょう☆


第3項  第5項

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