【第66話】

アンとの再会


俺とゼネテス、エルフのレルラ3人は

洞窟の階段付近で人間らしき足跡を見つけた。


ノアニールの村長の息子やアンの足跡かもしれない。

俺達は階段を降りていった。




下の階層も似たような景色だった。


「これはマッピングしていなかったら、迷うな」


ゼネテスがつぶやく。


記憶というものは曖昧なものだ。

自分がこう来たと思っていても

目の錯覚や、自分の方向感覚が狂うことで

位置を見失うことは多々ある。


勘だけに頼るのではなく確かな技術を学べ、

そう親方に教わった。


非常に面倒くさい作業ではあるが、

正規の盗賊の技術を学んだ俺はそのことは理解している。


だから黙って、次の階もマッピングしてきた。


「ほぉ…さまになっているじゃないか」


ゼネテスが俺の書いた地図をのぞきこむ。

シャンパーニの塔はゼネテスの方が長くいるから先輩づらするが、

そこが気に入らないから無視してやった。


何階か下に降りたり、上がったりしていたが

魔物に出くわすこともなかった。


思ったよりは安全な洞窟なのかもしれない。

何度かあがったり下がったりすると、

明かに何物かの手で作られた水路に出た。


水路は石で囲まれており、

石の床も敷き詰められている。

大理石ではないようだが、しっかりとした石造りがされている。


「誰かここに住んでいるのか、それともいたのか?」


ゼネテスがつぶやく。

見ず水場を見ると、コケがはえている。

このコケはきれいな水でないと生えないコケだ。

つまり飲める水ということか?


そんなことを考えながら水路をたどっていくと

やがて大きな水場に出た。

そこに一人の少女が水を組んでいた。


「アン!!!」


少女を見た瞬間、レルラが叫ぶ。


びっくとする少女はこっちを見る。


「…レルラ?」


レルラの顔をみて、ぱっとかがやいた顔をしたアンだが

その後、少し困った顔をした。


「…アン?」


第67話 告白

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