【第95話】

雷神の剣


今、イシスは魔王バラモスにより、落とされかけている。

親方は各地方の勇者に呼びかけを行いながら

自らはイシスに向かい、魔物たちと戦う気でいるらしい。




「何も親方が行かなくたっていいじゃないか」


「では、誰が救援にいくんじゃ?」


「そりゃ、他の国のやつらが・・・」


「今、話したように他の国の人間がいくのには時間がかかりすぎる。

 いけるのはロマリア、ポルトガぐらいだろうが。

 それにロマリア王からのワシの方に要請が来ていたのじゃ」


「ロマリア王から?」


「ロマリアからも救援はある程度出すが、自国の守りをできるくらい、

 兵士は残さなければいけないと。

 それで、いってはくれぬかと」


「じゃぁ、俺たちに最前線で戦って来いと?」


「そうとは言っておらん。

 あくまで、自主的にじゃ。

 それにあくまで話がきたのはワシ個人だけじゃ」

 

「親方が強いのは認めるけれど、

 だからといって、人一人では戦況が変わるとは思えないぜ」


「確かにおまえの言うとおりじゃ。

 たかが人一人増えたくらいでは簡単に戦況は動かんだろう。

 だがワシも無策でいくわけではない。


 それなりの勝算があるから行くんじゃ」


「その勝算とは?」


「これじゃよ」


そう言うと、親方はいつも背中に背負っている

自慢の剣をたたく。


「その剣、親方がいつも大切そうに肌身離さず持っているけれど

 そんなに大層な代物なのか?」


「見てみるか」


親方は肩から、剣をさやごとはずすと俺に手渡した。


剣はずっしりと重かった。


「抜いてみい」


親方に言われたとり、剣を鞘から抜こうとしたが

剣は抜けなかった。


「あれ?」


俺は力任せに剣を抜こうとした。

しかし、抜けなかった。


「なんだ、この剣は?

 抜けねぇよ。不良品じゃねぇの?」


「ふむ、お主には抜けんかったか。

 この剣は持ち主を見るでの。

 それにふさわしい力と心を持ち合わせんと抜けんのじゃ」


そう言うと、親方は俺の持っている剣の柄を持ち、

剣を上に引き抜いた。


すると、その刀身が姿をあらわした。


「おっ・・・」


剣を抜きはなった瞬間、あたりにしびれるような感覚があった。

同時にぞくっとするような寒気がおきた。


「雷神の剣という古代宝物の一品じゃ」


第96話 譲れない一線

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