【第101話】


前回、はぐりんという、モンスターと知り合いになった私。

その表情は小さい子供のようにかわいく、

私は好感を覚えていった。


「お父さん・・・・・・・顔知らないんだ・・・・・・・」


「うんっ」


「やっぱり・・・・・・・寂しい?」


「う〜ん・・・・・・・・さびしい時もあるけれど

 できるだけ考えないようにしているよ」


「そう・・・・・・・・・」


私は奇妙な同情を感じた。


「ねぇ!」


「なぁに?」


私もできるだけ優しく答える。


「ボクを仲間に入れてよ!」


「え!?」


「お外に行きたいんだ。チェルトみたいに!

 いっぱいいっぱい、いろいろなものを、見たいっ!」


「で、でも・・・・・・・・・・」


「ダメ?」


うるうるした瞳で見つめられてしまった。


「お父さんやお母さんも探したいんだ」


「・・・・・・・・・・・・」


私の心の中でズキッと痛んだ。


「やっぱり、人間じゃないと、ダメなの?」


「そ、そんなことないよ」


私には彼のつらさがすごくわかる。

そして、彼が両親を捜したいという純粋な願いも・・・・・・


「・・・・・いいわ・・・・・わかった。連れていってあげる」


「ほんと?」


「えぇ、ほんとうよ」


「わ〜い! やったぁ〜!! うれしいなぁ〜!!!」


無邪気に喜ぶはぐりん。


姿こそ、魔物だが、私には彼が光りそのものに見えた。


第93話〜96話のエビルマージ

第97話の動く石像

第98話〜101話のはぐれメタル

バラモス城で現れるモンスターで

それぞれのオリジナルストーリーを書いてみました。

どれも楽しくかけたのですが、

はぐりんのところが私は好きです。


テーマは「種族の違う友情」です。


種族が違ってもチェルトとはぐりんの求めるもの(父親)は同じ。

そこでこの1人と1匹がお互い共感を覚えたらいいなと言う

作品を描きたかったのですが、チェルトが一方的に

共感を覚えた作品になってしまいました。

人間とモンスターの共存

DQ5を持っている方はご存じだと思います。

これが私にはすばらしく感じました。

これをDQ3のチェルトの冒険に入れてみたら

面白いのではと思い、書いてみたのですが、

みなさん、楽しんで頂けたでしょうか?

これからはチェルトとはぐりんの珍道中も書く予定です。


第102話 決戦前夜

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