【第117話】

ひとりぼっちの私


「ちぇるとぉ〜」


・・・・・・・・・・・・・・・・


「チェルトったらぁ〜」


・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・


「だいじょうぶ?」

 

はぐりんが心配そうな表情で、私を見ている。

 

「うなされていたよ」

 

そっかぁ・・・・・・・

昨日、剣をもらったあと、宿に帰って、すぐねちゃったんだ・・・・・

 

変な夢を見た・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・自分が世界を統率する夢だった。

でも、ちっとも気分が良くない・・・・・

 

王女様になって、見たことのない、ごちそうをいっぱい食べられた。

でも、食事は一人っきり。

人と話そうと思っても、

私を敬い、その人達は頭を上げようとしない。

それを見ていて、すごく悲しかった。

友達なんていない世界。

ひとりぼっちの私。

 

もちろん、王女様にはいい人もいると思う。

イシスの王女様なんて、とても素敵な方だし。

 

でも、この誘惑の剣の力で手に入れた王女様は

・・・・・・・・・・本当に、幸せだったのだろうか?

わたしにはそう思えなかった。

 

本当に大事なのは、わたしは、”人とのふれあい”だと思っている。

自分にとって何が大事かは、人によって違うとは思うけれど、

少なくとも私はそう思っている。

この剣は・・・・・・・・・・絶対に人にふれてはいけない物だ・・・・・・・

それを実感した・・・・・・・


オリジナルストーリー

バラモスを倒したあとの

チェルトとはぐりんの成り行き、はぐりんにキメラの翼を与えたのは?

を描いた第109、110話

つかの間の平和の1シーン第111話

温かい料理を食べ、母を思うチェルト第112話

そして、ダークシーンを描いた

「誘惑の剣シリーズ」第113話〜第117話

を書いてみました。

 

とくに、誘惑の剣シリーズは書くのが苦労しました。

武器としては「混乱」させることしかないんですけれど、

なぜ、女性にしか使えず、そして、人を混乱させることができるのだろう?

というのを考え初めて、こういうストーリーを書いてみました。

 


第118話 見えない影

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