【第141話】


王様からバスタードソードをもらい受けた私は

一度家に帰ることにした。

お母さんには・・・・・・・なんて言おう・・・・・・・

もう、これ以上、心配かけたくない。

とりあえず、気づかれないように・・・・・・・平静を装わないと・・・・・


「ただいま・・・・・・・お母さん・・・・・・」

 

「お帰り、チェルト。

 どうだった、お城の宴は?」

 

「う、うん!

 楽しかったよ!」

 

「ふぅ~ん・・・・・・・

 なんか・・・・・・・・あったの?」

 

「え、なんで?」

 

「なんか、様子がおかしくない?」

 

「そんなことないよ。

 さすがに、着慣れないドレス来ちゃって、それで疲れちゃってね」

 

「そう・・・・・・・・」

 

さすがに、お母さんは勘が鋭い。

ちょっとした仕草でもすぐに感づかれてしまう。

 

「ずいぶん、大きな剣ね・・・・・・」

 

「あ・・・・これ?

 これさ、アリアハンの国宝なんだけれど

 今回の功績が認められて、頂いたの」

 

「そう・・・・・・・・・・・・・」

 

「どうしたの?

 うれしくないの?」

 

「・・・・・・・・・・・そんなものをもう振り回さないでね。

 あなたには、もう剣をもってほしくないの」

 

「え?」

 

「昨日、言ったでしょ?

 女の子らしくするって。

 料理とかいろいろ教えてあげるからさ。

 それに他にもいっぱい・・・・・・・ね?」

 

「どうしたの、かあさん・・・・・・急に?」

 

「・・・・・・・・・・・・・なんか・・・・・・・

 チェルトが、またいなくなるような気がして・・・・・・」

 

ばれて・・・・・・・・・いる・・・・?

 

「ま、まいったなぁ・・・・・・・

 あ、あのさ・・・・・・・・実はね、まだ各地に魔物がいっぱいいるじゃない。

 それで、その残党狩りを命じられたの。

 まだ、魔王は倒したとはいえ、その影響を受けている国はあるわ。

 だから、ちょっと・・・・・・・その・・・・明日から、また少し・・・・・・・

 ・・・・・・・家を空けることになって・・・・・・・

 ・・・・・・・・・ちょっと、そんな泣きそうな顔しないでよぉ・・・・・・・」

 

「だって・・・・・・・・・・」

 

「そんな、長くは家を空けないからさ。

 しょうがないじゃない。

 アリアハンだけ平和であればいいというわけじゃないし・・・・・・ね?」

 

もう、帰ってこれないかもしれない・・・・・

お母さんに嘘を言っている・・・・・・

すごく心が痛い・・・・・・・・

 

「親としては・・・・・・娘にやっぱり剣なんかもってほしくない・・・・」

 

最初に旅立つ前から思っていたことなんだろうな・・・・・

 

お母さんも気が強いが、かなり涙もろいところがある。

本当に、わたしってお母さんの血を多くひいているみたい。

 

「でもね・・・・・・お母さん・・・・・

 私は、お父さんの夢を実現させたいの・・・・・・」

 

私の意志が固いことをしって

やっと納得してくれた。


かあさん・・・・・・・・・

ごめんね・・・・・・・・・

でも、世の中には知らない方が幸せなことだってあるんだよ・・・・・・

 

その夜、私は眠りにつけなかった。

ゾーマの出現と、お母さんに嘘を言ったこと・・・・・・・


第142話 新たなる旅立ち

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