【第189話】

ラダトームの言い伝え



盗賊に間違えられ、ラダトーム城に手を縛られた私。

言い訳をしたかったが、何も言うことができなかったので

私は黙って、彼らの言うとおりにとらわれることになった。

 



牢屋で黙って、座り込んでいる。

 

「これから、どうしよう・・・・」

 

別に盗もうとしたわけではなかったが

まさか、あんなことになるとは思わなかったけれど

でも、勝手に、扉をあけてしまった私も悪い。

 

 

だから、このあと、裁きにかけられるかもしれないけれど

自分のことを、正直に話そうと思う。

 

しばらくすると、兵士の1人が話しかけてきた。

 

「王様がお呼びです。お出になってください」

 

あれ?

盗賊と思っているには口調が丁寧じゃない?

どういうことだろう。


 

「待ちわびたぞ・・・・・・・・・

 この瞬間を・・・・・・・・・」

 

王様は私の顔を見て、なにやら、感慨にふけっている。

 

私は、なんのことやら、わからなく、

とにかく今まであったことを素直に話そうと思った。

 

「あの、私は・・・・・・・」

 

そう言うよりも早く、王様は

響き渡るような声で話し出した。

いにしえの黒曜石

神に選ばれし勇気ある者

一度触れれば

太陽の輝きを取り戻す

 

精霊に守られし杖

命吹き込めば

雨雲の力が宿る

 

雨雲に集まりし、聖なる雨

 偉大なる太陽の光

 雨と太陽が合わさるとき・・・・

虹の橋がかかる

王様がふっと息をつく。

 

「それは・・・・・・」

 

「このラダトーム城に古くからの言い伝えじゃ。

 お主がどこの誰かはわからない。

 

 しかし・・・・・・お主はこの石に輝きを取り戻すことができた」

 

そういって、差し出したのは布に包まれている、赤い石。

 

それは、さっきの密室にあった部屋の石だった。



第190話 神に選ばれし勇気ある者

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