【第196話】

心の中のミリー


王様に謁見してから、ずっと私の中で

2つの考えが頭の中で回っていた。


お父さんが生きているということを否定する心。

それは、裏切られるのが怖いから。


もう1つは、それでも信じてみること。

お父さんが生きていると・・・・・・信じてみること。



夜が来た。


まだベットに座って、考え込んでいた。



「はぁ・・・・・・・・」


ため息をする。


(ため息すると、幸せが逃げるよ・・・・・・)


そんな声が頭の中に聞こえた気がする。


・・・・・・なつかしいな。

以前、ミリーがそんなこと言ってた。


ねぇ・・・

ミリーは、やっぱり父さんが生きていると思う?



ミリーは、何も言ってくれない。


そりゃ、そうだ。

自分の中の想像なのだから。


でも、こういうときは・・・・なんか言って欲しい。


確か、ミリーは、自分の両親と一緒に航海に出かけて、

ご両親が亡くなったんだよね・・・・・


ミリーはその時はどうだったのかな。

お父さんとお母さんが亡くなったときを目の辺りにしていたのかな。


それとも、ずっと子供の時は生きているって思っていたのかな。

もしかして、今でも、生きていると思っているのかな。


(あんたって、すぐに悩むよね・・・・)


そう、結構悩む。


(チェルトに悩む姿なんて、あわないよ)


るさい!


また頭の中で、よくミリーに言われた言葉を思い出す。


子供の頃は、私は割り切りがよくなく

すぐにいろいろなことを悩んだ物だ。

いや、今もいろいろ悩むと思うけれどさ。


(なんで、悩むの?)


いつも、私はそう答えた。


つらいことがいやだから。


親友に子供の頃、私はそうぼやいた。


(つらいか・・・・・

 でもさ・・・・つらいも含めて、生きてるってことなんじゃないの?)


どういうこと?


(つらいことから逃げるのは楽だよ。

 目を背ければいいのだから)


そうだよね。


(でもさ・・・・ほんとにそれでいいの?

 私だったら嫌だな・・・・・・


 きっと、後悔する)


後悔?


(そ、後悔。

 つらさに負ける自分が。

 行動できない自分が。


 つらいことを考えている自分が嫌だけれど、

 そこから逃げる自分がもっと嫌。


 だって、人生、一度しかないんだもの・・・・


 立ち向かって、そしてダメだったらしょうがないよ。


 でも、頭の中で、理解して逃げるのと、

 実際に行動して、そしてあきらめるのって違うと思うよ。


 すくなくとも・・・・行動すれば・・・・後に後悔は残らない。


 私は後悔を残すのが、何よりいや。

 だから、行動して、どうしても、ダメだったら

 その時にあきらめる。


 チェルトにはチェルトの考えがあるから、

 私の考えを押しつけるつもりはない。


 でも・・・・私はそういう考えだな・・・・・)


そんなことをミリーが言っていたことを思い出した。




第197話 親友の言葉

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