【第226話】

咆哮


魔王の爪あとになんとかたどり着いた。

しかし、そこには最強のドラゴンと詠われるサラマンダーが待ち受けていた。

呪文も使えず、満身創痍の私は追い込まれる。

打つ手がなく、最後の賭けで私は、魔王の爪あとに身を投げた。



炎で溶けかけている力の盾を放り投げ、集中力を高め

体中の魔法力をかき集める。

ルーラの応用で、徐々に落下のスピードが落ちていく。

ちょっとでも気を抜くと、気を失いそうだ。


しかし、ギアガの大穴とは違い、それほど遠くなく

魔王の爪あとの奥に到達した。


静かに地面に足をつけ、そのまま崩れ落ちる。


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・」


「チェルト・・・・大丈夫!?」


「う、うん・・・・・危なかった・・・・・

 本当に間一髪だった・・・・・・・・」


私は呼吸をなんとか落ち着けようにする。


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・

・・・・・あれ?

 しゃべれる?

 ここは・・・・・洞窟の魔力が及ばないの?」


「あ!

 ほんとだ!

 音が聞こえるよ〜」


そうか・・・・・


相当疲れてはいたが、またさっきのサラマンダーが襲ってくる可能性もある。

すぐにベホマを使い、戦いで傷ついた傷をすぐに癒した。

痛みが和らいだ。


周りを見渡す。

辺りは、光を放つコケが密集していたため、

真っ暗なはずの谷底でも、辺りを見渡すことができた。


「ねぇ、チェルト。

 あれ、なぁに?」


周りを観察していたはぐりんが伝える方向を見ると、

光コケとは違った、光を放つものが見えた・・・・

あれは・・・・・・


その光の発する方向に歩いていくとだんだんと輪郭がはっきりしてきた。

あれは・・・・・盾だ!


勇者の盾だ!

ついに見つけた・・・・・


歓喜に震えていると、後ろから

背筋が凍るほどの咆哮が聞こえた。


汗が・・・・落ちる。

すごい殺気だ。


後ろを振り返ると・・・・・・先ほどのサラマンダーがいた・・・・・


第227話 勇者の盾

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