【第254話】

迎え人


マイラの村に戻ってきた私は、宿に一度戻り、

カンダタに、はぐりんを紹介した。

カンダタは最初、はぐりんを見てとまどっていたが、

人なつっこいはぐりんは、カンダタにすぐに慣れ、

はぐりんの今までの経緯を話し、

彼(?)も私の大切な仲間だと伝えると、

今は、はぐりんを膝の上に乗せてあやしている。


その間、私は、オリハルコンの鍛冶屋にいって様子を見ることにした。




「これは、チェルト様!

 実は先ほど、チェルト様がおっしゃっていた

 オリハルコンを持った戦士の方が現れまして」


「えぇ、今、その戦士にあいました。

 カンダタに話を聞いて、それでこちらに伺ったの」


「そうでしたか。

 チェルトさんのお知り合いの方だとおっしゃっていたので」


「あの人も私たちと同じ、アレフガルドではなく、

 上の住民なんです」


「そうだったのですか、それならチェルト様のことをご存じだったはずですよね。

 今、主人がさっそく、あの戦士様からいただいた、オリハルコンを鍛えるため、

 部屋にこもったところです」


耳をすませると、部屋の奥から、かすかに、金属を鍛える音が聞こえる。


「始めたばかりですので、しばらくかかると思います。

 草薙の剣を極めた時も、1週間はかかりましたので、

 最低でもそれ以上はかかると思いますが・・・・」


「ご主人には無理を言ってすいません」


「い、いいえ、そんなつもりで言ったのでは・・・

 とにかくチェルト様にふさわしい剣ができるといいですね。

 私たち、アレフガルドの希望の剣ですから」


そんなことを言われるとかなりプレッシャーがあるのだが、

それは言わないでおいた。


「全力を尽くします」


「剣ができましたら、宿の方に行き、

 チェルト様をお呼びいたしますね」




「ただいま」


「おう、おかえり」


宿に戻ってくると、野太い声のカンダタが待っていた。

なんか、変な気分だ。

ずっと一人・・・・いや、はぐりんはいたけれどさ。

迎えてくれる人がいるのは、奇妙な気分だった。


「どうだった?」


「剣を鍛えるためにかなりかかるみたい」


「そうか・・・・・・ところでこれからどうする?」


「どうするって?」


「大魔王ゾーマを倒すにしても、大魔王の城にわたる手段がない」


「きっと、伝説の武器と防具、それにこの太陽の石など、

 それが役に立つと思うんだけれど・・・・

 まだ、光の鎧の情報が1つもないのね。

 とりあえず、今まで行っていないところで

 もっと情報を集めようと思っている」


「ということは、どこに行く予定なんだ?」


「メルキドか、リムルダール。

 この2つのどっちかに行こうと思っている」


「俺もその町には両方ともいってない。

 ドムドーラとラダトームだけだったからな。

 場所的には、リムルダールの方が近いかな」


「ううん、メルキドの方が近い。

 マイラから、歩くとすると、リムルダールの方が近いけれど、

 ルーラでドムドーラの町にいけるから、たぶん、ここから

 リムルダールにいくより、半分くらいの距離でドムドーラから

 メルキドにいけると思うのね」


「じゃぁ、そっちを先に行ってみるか」


「うん。

 王者の剣ができるまでしばらく時間がかかりそうだから、

 マイラにはいつでも戻れるし、その間にメルキドに行こうと思う」


「あわただしいが仕方ねぇな。

 俺の用意はすぐできる。

 おまえさんも、用意ができたら、すぐに出発だな」


私たちは、アレフガルドで、4番目の町、「メルキド」へ行くことにした。


第255話 森からの襲撃

前ページ:第253話 「レミラーマ」に戻ります

目次に戻ります

ドラゴンクエスト 小説 パステル・ミディリンのTopに戻ります