【第259話】

閉ざされた門


メルキドの町にたどり着く前に、

目の前の光景に驚いた。

大量の死体だ。モンスターと人間の死体。

きっと、人間たちがメルキドを守るため、

魔物の軍勢と戦ったのだろう。

その光景は、直視できないほどひどいものだった。




メルキドの近くまでくると、その外壁の様子がよくわかるが、

要塞都市と呼ばれるとおり、外から見たメルキドの作りはとても強固そうで、

ちょっとやそっとのことでは、崩れなそうなところだった。


"すげぇ、ところだな・・・・"


唯一、城があるラダトームよりも、さらに頑丈そう。


私たちはその都市を見上げて、感嘆した。

こんなものが、人の手でできるものなのね。


メルキドの町は、広野にたてられているため、見渡しも良く、

町に近づくにしても、隠れようがなかった。


そのため、まだメルキドが人間の手で統治されているのであれば問題ないのだが、

もしすでに魔物たちによってメルキドが侵略されていたら、

私たちはこの広野では、どうすることもできず、見つかってしまう。


高度な魔法使いがいればレムオルという姿を消す魔法もあるのだが

今回は、カンダタが持っていた消え去り草を使って、町に近づくことにした。


だんだんと門が見えてくる。

巨大な門だ。

その門は閉ざされており、

横に小さな扉があり、そこに兵士たちが見える。


・・・ということは、人間がいるということは、

まだ、魔物たちには侵略されてないってこと?


私たちは消えたままの姿でひそひそ話をする。


"どうする?"


"このまま、突然姿を現したら、きっとびっくりするわ。

 私たちも魔物の仲間だと勘違いするかもしれない。

 一度ここから離れて、消え去り草の効果が切れたあと、

 正式に、正面から訪問したほうが、たぶんいいと思う"


"じゃあ、そうするか"


私たちが、一度戻って出なおすことにした。


が、後ろを振り向こうとした瞬間、消え去り草の効果が消え、

私たちの姿が見えてしまった。


「魔物の襲撃だ!!!!!!!!」


兵士たちの声が響き渡った。


第260話 囚われの身

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