【第281話】

キングヒドラ戦4


魔法の剣である稲妻の剣が通じない・・・

キングヒドラの鱗はそこまで硬かった。

ライデインを唱える時間さえ敵はあたえてくれなかった。

どうすればいい・・・・・




突然、私の体がさっきピオリムをかけれたように

青白く光った。


これは・・・・・・まさか・・・


一瞬後ろを振りかえると


「チェルト様、バイキルトをかけました!」


メルキド一の魔法使いがそう叫んでいた。

今までにないみなぎる力を感じる。


”こしゃくな真似を!”


それに気がついたキングヒドラが怒り、

矛先を魔法使いにかえ、

灼熱の炎のブレスをはいた。


魔法使いはもちろんのこと、

一緒にいた僧侶、守っていた兵士達も巻き沿いをくらい

一瞬で全員が灰にされる。


「なんてことを!」


目の前でまた・・・・・たくさんの人が犠牲になった・・・・


私は叫び声をあげ、思いっきり跳躍して

全体重をかけ、キングヒドラの首に剣をつきつけた。


バイキルトの助力を得た私の稲妻の剣は

キングヒドラの鱗をぶちやぶり、剣を首に埋め込み顔には返り血をあびる。


”ギャァァァ!!!!”


キングヒドラに馬乗りになり

腰を思いっきりひねり、体全体の力を使って

剣を横に力任せで振るう。

いったんキングヒドラの首に埋め込まれた稲妻の剣は

傷口をさらに切り開き、キングヒドラの鱗からさらなる鮮血が飛び散り

私は全身に返り血をあびた。


肉を切るイヤな感触と絶叫が聞こえたがそれでも手をゆるめなかった。

鬼の形相で、私は何度も何度も剣を振るい、

何度も突き刺す。

剣を突き刺す。振るう。突き刺す。振るう。

それを繰り返し、ひたすら相手の息の根をとめることだけを考えた。



そしてついにキングヒドラをの首を一本切り落とした。


”グワァァァァァァ!!!”


他の残っている首が

ライデインをかけたときよりもさらに大きな絶叫が聞こえる。


「きゃあ!!!」


暴れるキングヒドラから振り落とされる私。

頭をとっさにかばったが、全身を地面に強くたたきつけられ

しばらく息ができない。


”貴様・・・・・・

 許さんぞ・・・・・

 いつか必ず食い殺すぞ・・・・”


そうするとキングヒドラは体をひきつらせながら退却しはじめた。


驚いた事にキングヒドラが退却しはじめると

残っていた魔王軍も次々とひきさがっていった。


全身、返り血と自分の負傷で真っ赤になって倒れていた私は、

剣を大地につきたて、どうにか立ち上がって

肩で息を吸いながらそれを見届けた・・・・・・


第282話 大きすぎる代償

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