【第295話】

竜の力


体が熱い。

これが竜か。

竜の力なのか。

胸をかきむしりたくなる。

だが、私は負けぬ。

絶対に負けぬ。




私は自分が今どこにいるのかわからなかった。

竜神に言われるがまま、竜の力を受け入れた。


" 竜の力を身に付けるのはあなたの力によります。

 強靭な肉体と精神力、それを受け入れる器がなければ

 あなたの体は竜の力に飲みこまれるでしょう"


竜神の心の声が頭の中にこだました。

これが・・・・竜の力か・・・・

全身に膨大な圧力がかかる。

体がひきさかれそうだ・・・・

その圧倒的な力に抵抗しようと歯をくいしばる。

苦しい・・・・

その苦しみに耐えようと意識を集中する。少しでも意識をとぎらせたら

私はその圧力にかき消されてしまう。


”精神を強く持ちなさい。心をしっかりと持ちなさい”


そうだ・・・・心を強く持て。

私にはやりとげなければいけない目的がある。

最後の戦いにたどり着かなければいけないのだ。

私は・・・大魔王を倒さなければならない。

そのため竜の力を得ることを選んだ。

自らの肉体を変えてでも、力を得ることを選んだ。


誰かの犠牲を得ることは耐えがたかった。

竜神の犠牲にすることはは耐えがたかった。

しかし私はそれを選んだ。

たとえ、竜神を犠牲をしても、私は力が欲しかった。


”あなたの心の強さ、誇り、それを思い浮かべなさい”


私は・・・・・勇者だ。

娘さえ守れなかったしがない勇者かもしれない。

しかし断じて引かぬ。

たとえどんな困難が待ちうけようが私は自分の力で

運命を切り開いてみせる。


”あなたがもっとも大切だと思うことを思いだしなさい”


私が守る者・・・・・妻に娘・・・・

私には守るものがある。

守らなければいけないのだ。

守れなかった娘。


しかし今度こそ、私は守らなければいけない。

愛するものを守るため!


”ウォオォォォォォォォ!!!!!”


私は守るべきものを思いだし

全身の力を爆発させた。


私の体から一筋の光りが空へ解き放たれた。


第296話 命の剣

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