【第306話】

アレフガルドの航海


私は船長と今後の予定を話しあった。

航海中はできるだけ戦闘を避けたいため

聖域魔法トヘロスで結界をはることにした。



船はラダトームを出発し黒い海を進む。

六隻のうち、三隻は違うルートから進んでいるので

私の視界から見えるのは、残り三隻の船だ。

その船の回りにぼんやりと光の壁が見える。

私が唱えたトヘロスの結界だ。

トヘロスの聖なる光は暗闇の海に幻想的な景色を作っていた。

その様子を船員達は不思議そうに見ていた。


海の魔王との戦いは塔にいくのに避けられないかもしれないが、

できれば、避けられる戦いは避けたい。

どの程度効果があるかはわからないが・・・・


運がよいせいか、それともトヘロスが効果をあらわしているのか、

船は静かに何事もなく進んでいった。


海の波も静かで、暗闇で何も見えなく

船で灯している火だけが頼りだったが

航海は順調のように見えた。


そのうち・・・・・・

静かに楽器の音色が聞こえた。

竪琴の音色だ。

静かで・・・・ちょっと物悲しい音色だったが、

甲板にいるものの心を癒した。

この船に詩人でも乗っているのだろうか。


私も一度トヘロスの魔法を唱えたあとは

その効果がきれるまで特にすることもなく

一緒にその音色に聞き惚れていた。

きれいな音色だ。


この曲はラダトームでも聞いたことがあった。

たしか精霊ルビス様をたたえる唄で、

この国の者なら子供でも知っているらしい。

しかし何度聞いても聞き飽きない曲で

アレフガルドの人には最も親しまれている曲だ。

その曲に聞き惚れていた時である。


”ギャアァァァァァ!!!”


突然、絶叫が聞こえた。

はっと武器に手をかける。

甲板の戦士達も武器を手にする。


声の方をみると、外からだ。

甲板から身を乗りだして暗闇の海を見る。


すると、たくさんの赤色のマーマン達が、船の外に群がっていた。

しかしそのマーマンが船にとり付こうとすると、

トヘロスの光に阻まれ、近寄ることができないようでいた。

何度も何度もマーマンの群れは船近ずこうとしたが、

その度に光の結界に阻まれた。

しばらくするとマーマン達はあきらめ、暗闇の海に戻っていった。


第307話 ガライとの再会

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