【第32話】

脱走


話を何も聞いてもらえず、とらえられた私。

両腕を兵士につかまれて、牢屋に放り込まれてしまった。

しかし、そんなことはどうでも良い。

私は見逃さなかった。王様の異様な目を。

あれは人間の目ではない。

恐ろしく殺気だった凍り付くような目つきだった。


「こんな所にずっといるわけにはいかないわね・・・・・・・・・・」

ガチャガチャ

「うーーーんっっっっっっ!」

だめだ。さすがに頑丈な扉だわ。力任せでは開かないわね。

どうしよう・・・・・・うーん・・・・・・

あ、そうか、最後の鍵使えばいいじゃん!

わたしったら、あったまいぃ!



かちゃかちゃかちゃ・・・・・・・・・・・・開いたぁ!

「おい!さっきからうるさいぞ!」

やっばぁっ!

「す、すいませーん!何でもないですぅ。ひとりごとですよぉ」

ふぅ、危うくばれるところだったわ。

こっそりエスケイプ・・・・・・


「やれやれ、偉い目にあったわ」

牢屋から、地下通路をを見つけた私は、物音をたてないように

忍び足で歩く。

「大丈夫、たぶん外に通じているはず」

と自分に言い聞かせる。

「・・・・・っ・・・・・・」

ん?気のせいかなぁ。何か聞こえたみたいだけれど。

「・・・・・うっ・・・・ゴホッ、ゴホッ・・・・・・・」

・・・・・・・・・・間違いない。誰かいる!

私は暗い壁を手探りでさわりはじめた。

「きゃっ!」

スリスリ、扉らしいところを探していたら、急に壁が抜けたの。

どってん!

「いったぁぃ・・・・・うーん・・・・・」

前向きに倒れた私を他人が見ていたら、さぞかっこ悪かっただろう。


・・・・・・・見ていた・・・・・・

汚いベットに横たわっている老人が・・・・・・


第33話 陰謀

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