【第327話】

ミミック


大広間で八つの宝箱があった。

そのうち、いくつかは魔法の種が入っていて

貴重なアイテムを手に入れることができた。

残りの宝箱を開けようとすると、

宝箱が鋭い牙をむき出しにして襲い掛かってきた。




「予想通り!」


既に迎撃体制を整えていた私は宝箱が襲ってきた瞬間、

稲妻の剣を叩きつけた。

宝箱は真っ二つに割れ、バラバラに砕け散る。

中から紫色の液体が飛び散った。

予想していただけあって、敵の攻撃を出させる前に片がついた。


しかし、私の予想は甘かった。

トラップは一体だけじゃなかった。


私が真っ二つにしたのは、人食い箱のようだったが

もう一匹人食い箱がいて襲いかかってきた。


そして人食い箱は何か呪文を唱えた。

呪文が完成すると力が抜ける感覚をうけた。

魔力を吸い取られている?

マホトラだ・・・・こいつ・・・人食い箱じゃない!


確かミミックというモンスターだ

罠の中で一番凶悪なモンスターで宝箱の辺りにある血の跡と人間の骨は

トラップにかかり、人食い箱とミミックの餌食になった冒険者に違いなかった。


一瞬の隙ができた私にミミックは今度メラミを唱えてきた。


確かミミックはザキ系の魔法を使うはずだ。

もし使われたらやっかいなことになる。


メラミのダメージ受けるのを覚悟で

勇者の盾を構えてミミックに突進した。

メラミは勇者の盾に当たりはじけとぶ。


メラミで倒せないと悟ったミミックは再度マホトラを使い、

私の魔力を吸った。

また力を失う感じを受けたが

二度も魔法を唱えたことで、私の剣はミミックの届く位置にいた。


三度目に、ミミックが何かを唱えようとしたが、

その前に私の稲妻の剣がミミックを叩き割った。


緑色の不気味な液体を吹き出しながら、

箱が蒸発していった。


「・・・・また魔力を消費してしまった」


私は少し荒い息を吐きながらつぶやいた。

メラミのダメージはほとんど傷を負わなかったが

マホトラを二回も使われてしまった。


まだ二階だというのに果たして最上階までたどり着けるのだろうか。

回復魔法に魔力を温存しておきたいから

攻撃魔法は控えて、稲妻の剣と王者の剣を使いながら最上階を目指すしかなさそうだ。


第328話 祈りの指輪と炎のブーメラン

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