【第368話】

はぐりんが語るスライムの歴史9


はぐりんから語られた言葉。

それははぐりん自身が捜し求めていた神器の1つ「雨雲の杖」とのことだった。




「はぐりんは…はぐりんは…はぐれメタルでしょ?」


何を言っているのだ、はぐりんは。

はぐりんははぐれメタルでしかない。


しかし…目の前にいるはぐりんは、はぐれメタルではなく

きれいな女性そのものだった。

その姿を変えている。

 

「確かにボクははぐれメタルだった。

 ずっと昔…君が生まれる…何百年も前の話だけれどね。

 ぼく達はぐれメタルの歴史は先ほど話したとおりさ。

 

 ルビス様に導かれたボクたちは天上界で平和に暮らしていた。

そして天上界でいろいろな種族と知り合いにもなった。

容姿がきれいな森の妖精エルフや、手先が器用なホビット族なども選ばれた心優しき民は

天上界に住んでいたんだ。残念ながら人間はいなかったのだけれど…

ある日ボク達は一人のホビットが、何か物を一生懸命作っていたので興味本位に近づいて話しかけたんだ。


「ねぇねぇ、おじさん。何を作ってるの?」


「ん?

あぁ…ルビス様が連れてきた新たな生物か」

「あらたな生物じゃないやい。

はぐれメタルって言うんだい」


「そうか、そうか、そりゃ悪かったな。

今な、ワシは金の鏡を作っているんじゃ」

「金の鏡?」


ボク達はホビットさんの周りにわらわらと集まった。


「そういえば、ボク達、金の鏡を拾ったことあるよ。

エルフのお姉さんが困っていたから、毒の沼地を探したんだ。

あれもホビットさんが作ったって言っていたけれど…」

「そうか、お主達、ワシらが作った金の鏡を探してくれたのか」


そういうと、ホビットのおじさんはガハハと豪快に笑った。


「ではワシからも何かお礼をしないといかんの」


「そ、そんな、いいよ」


「うん、いいよ、だってお礼もらうために言ったんじゃないもの」


「お主達、欲がないの。

ま、だからこそこの天上界に来れたのだと思うがな。

では、お礼ではなく、友好の証としてお主達に何かものを作らせてくれ」

「友好の証?」


「友達ってこと?」


「そうじゃ。お主は困ったエルフを助けてくれた。

ワシらホビットも助かったし、エルフも助かったじゃろう。

種族は違うが、ワシらは友達じゃ」

しばらく、ボク達は目をまん丸にしていたが、

やがて、ボク達はぴょんぴょん飛び跳ねた。


「わーい、わーい、友達友達!」


「友達、増えて嬉しいな!」


「今はこの金の鏡を作っているから、すぐにはいかないが

 そのうち作るからの。楽しみにまっているがいい」


そうホビットのおじさんは僕たちに約束してくれた。


第369話 はぐりんが語るスライムの歴史10

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