一月二十一日

試練の洞窟までは三日の距離だ。今はモンスターが徘徊して、昔よりも条件が厳 しい。また、洞窟までの送り迎えも大臣は許可してくれない。
これまた嫌われたものだ。


一月二十四日

無事王家の証を手に入れた。案の定、誰かに雇われた連中が襲ってきた。そいつ らは軽く打ち倒したけれども、苦戦したのは、自分の幻影だ。
僕そっくりに変身して襲い掛かってくるのが何匹もいて、かなり精神的に参った。
確かに試練の洞窟だ。
一月二十八日

信じられないことだけれど、もう赤ちゃんが産まれそうだ。いくらなんでもこれ は早すぎる。が、僕の子であることは間違いない。
医者の話によると、僕が生まれたときは七十七日間だったそうだ。「マーサ殿の 血のなせるわざでしょうな」、と語ってくれた。


上の階から苦しそうな声が聞こえる。乳母どのや、助産婦さんたちはなれたもの だが、不安がつのる。今夜は眠れそうにない。

 
 
 
一月二十九日

明け方近く、双子が生まれた。男の子と女の子だ。オジロン王はたいそう喜ばれ て、国民にいきなり発表してしまった。

まだ僕は心構えすらできていないのに、あさってにはもう王位継承の儀式を行うつもりらしい。本当は明日にでもやりたかったようだけれども、大臣に懇願されてあさってになった。


ビアンカと、二人の名前を考えている。儀式の日には、発表できると思う。


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