四月二日(八年後)

腕のあたりがまだこわばっている。書くのが少しつらい。


また、人生から取り残されてしまった感じだ。胸に大きな穴が空いたような気が する。
せっかくビアンカを見つけたのに、離れ離れになってしまった。
八年間の苦しみは、そんなに簡単に癒されない。子供たちの成長がただ一つの心 の安らぎだ。しかし、かまってあげることもできなかったという罪悪感も残る。


あの事件の本当の犯人は、父さんのかたきの一人だった。差し違えになったとは いえ、これで三分の一だけは仇を討ったわけだ。
ジャミとかいう奴は不思議な術を身につけていて、どんな攻撃も受け付けなかっ た。あの時ビアンカが助けてくれなければ、、、


僕らはジャミの最後の力で石化させられてしまった。そして今まで八年間をすご してきたわけだ。時が流れていくのをただじっと見守るしかない自分が情けなか った。


石像と化した自分をあの塔から運んで売り払ったのは、あの時会ったトレジャー ハンターの仲間だったようだ。お互い幸運を祈り会った連中とああいう関係にな るとは、なんとも皮肉なことだ。

ビアンカはどこに売られたのかは分からない。ひょっとすれば僕のように、魔界 の手のものではなくまだ普通の家にいるのかもしれない。わずかだが、望みはあ ると思う。


同じく石像として売られていたチロルとピエールは回収された。だが、ミニモン は残念ながら石化が解けても二度と動くことはなかった。ビアンカが悲しむだろ うなあ。

 


次のページへ
表紙へ
パステル・ミディリンのトップページに戻ります