四月三日

オジロンは摂政となって、国を守ってくれるという。八年も待ったのだから、も う少し待ちますよ、と言ってくれた。兵士には見せなかったけれども涙が出た。 オジロンはしばらく人払いをしてくれた。


子供たちが、僕についてくるつもりでいる。僕自身同じように父さんと世界を回 っただけに、強く断りきれない。だが、僕は父さんのように強くはない。守り切 れるだろうか。自信が無い。

娘はビアンカによく似ている。幽霊城を旅した時、ビアンカはこんな顔をしてい ただろうか。ビアンカが今ここにいないだけ、危ないまねをさせたくない、とい う気持ちがつのる。

だが、息子の方は、、、
目が僕によく似ている、とみんながいう。けれども、情としてあまり肉親という 感じがしない。非人間的なまでに神々しく、武術、呪文共に子供ばなれしている。 黙って立っている時の姿は、まるで何かの芸術作品のようだ。
お父さん、という声を聞き、ようやく現実にかえる。

息子はあの天空の剣を軽々と振り回している。テルパドールのアイシスさまにあ わせてみなくては。


そのあとは、母さんのふるさとを訪ね、魔界についての手がかりを捜そうと思う。
ビアンカがどこかの家に売られたならばともかく、魔界に関することならば兵士 たちの手には負えないだろう。母さんの不思議な力の謎を解かなくてはならない。
目標が決まると、少しやる気が出てきた。

四月五日

国を離れ、テルパドールへ向かう。
サンチョがかなりいろいろなことを子供たちに教え込んだらしい。かなり旅慣れ ている。しかしまだ子供だ。チロルの背に乗ったりして遊んでいる。

体力は有り余っているようなので、寝かしつけるのに苦労した。


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