七月九日

ここは僕のいたところだ。十年以上もここで働かされていた。その後更に十年も 経ったとはいえ、いまだによく憶えている。

神殿では教団の神官が説教をしていた。神官は卑劣にも、よりにもよって母さん の姿を騙っていた。怒りが込み上げる。即座というわけには行かなかったが、打 ち倒して神殿を制圧した。一般信者は魂を抜かれたようになっていたが、回復し たようだ。今はこの神殿は安全だ。

隠し階段から大神殿へ突入したが、敵はもはや死にもの狂いだ。いきなり本拠地 を衝かれるとは思っていなかったのだろう。奇襲効果でかなり奥まで進んだが、 体力が限界だ。
敵に準備の時間を与えることになってしまうがやむを得ない。上を制圧した以上、 これ以上の増強はできまい。包囲はグランバニア軍に任せて、いったん撤退する。


ロッキーとメガーザの二頭立ては、今回も有効だった。しかしやたらに爆発する べからずという司令は固く守ったものの、途中ではぐれてしまった。あまり心配 したくはないが、やはり心配になってしまう。


ヨシュアさんを、いやヨシュアさんの亡骸を発見した。壮絶な最期を遂げられて いた。マリアさんに話すべきだろうか。

七月十日

いったん外に出て馬車で休んでいるあいだに、激烈な戦闘があったようだ。兵士 に多数の犠牲者が出た。大きな爆発音がしたので駆けつけると、双方痛み分け、こち らがやや有利に展開していた。僕らはその混乱の中ふたたび大神殿の中に突入で きたのだ。


教祖は邪悪な顔をしていたが、まさしく人間のようだった。僕らを目の前にして も余裕たっぷりにしていた。そして、何と外にある僕らの馬車を呼び寄せた。

戦闘はこれまでになく激しく、苛烈だった。輝く息やイオナズン、それにどこに そんな力があるのかと思うような強烈な一撃。いくら斬りつけても、まるで弱っ ていないようだった。僕らが不安になり、ついには恐怖をおぼえた頃に、イブー ルは倒れた。
いったいどこでこのような術を身につけ、なぜこのようなことをしたのかは分か らない。

ともかく、教団は壊滅した。


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