七月十一日

呪いの解けたビアンカと、家族水入らずで過ごす。 今日一日、本当に楽しかった。
七月十三日

留守中の報告を山のように受ける。教団の事後処理や、国の再建など仕事が山の ようにある。

神殿の包囲が突破されようとしたとき逆転できたのは、ロッキーのおかげらしい。
いちおうグランバニア勲一等を送っとこう。

七月二十日

仕事が手につかない。心が別にあることをオジロンに見抜かれてしまった。

神殿の中で母さんの声が聞こえた。魔界に来てはならない、と。しかし、僕の心 は決まっている。魔界に行く。母さんを捜す。

だが、それでオジロンと大喧嘩をしてしまった。普段温和なオジロンとしてはめ ずらしいくらいの口調だった。腹を立てている。

オジロンの気持ちも分かる。二代続けて国を空け、国民をないがしろにしてしま った。グランバニア城からも人が去り、パパス王最盛期の影はない。
消えた妻を捜す、という旅は、ビアンカで完結して欲しいというのだろう。

だが幼い僕を連れ、無念のうちに死んだ父さんの気持ちが僕は痛いほど分かる。
逆にいえば、それを晴らさなければ、僕が完結できない。
オジロンには悪いが、僕は行く。


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