-プロジェクトC-




飛空挺を手に入れたセリスたちは、ジドールの宿屋で今後についての話し合いをしていた。
「ここに来たからにはやる事はひとつだ」
セッツァーが真剣な面持ちで、エドガーとマッシュの顔を交互に見た。
「……あいつと戦うのか。奴は強いぞ。勝算はあるのか?」
エドガーは顔を上げ、セッツァーに鋭い視線を向けた。
「……ある!俺が奴を止める。その隙にお前らが上手くやれば、なんとかなるさ」
自信に満ちた表情でセッツァーが応える。
「……本気かよ!あんたそこまで……」
マッシュが声を荒らげる。
「言うな。この戦いには俺たちの今後がかかっているんだ。負ける訳にはいかない」
「セッツァーの言う通りだ」
エドガーが大きく頷いた。
「そうだな!やってやるか」
マッシュが席を立ち、大きく背伸びをする。
「……ねえ。さっきから一体何の話をしているの?」
話が見えないセリスは訝しげな表情をしている。
「あんたには、関係のない話さ」
セッツァーはそう言い放つと、呆然としているセリスを残して部屋を出た。
エドガーとマッシュもその後に続く。
「……何なの?一体……」

「着いたぞ」
先頭を歩くセッツァーが足を止めた。
「いよいよか……」
エドガーが目の前にある建物の看板を見つめる。
『オークション会場』
看板にはそう書かれていた。
「お待たせしました!本日の目玉商品!」
セッツァーたちが建物の中に入った頃には、オークションはクライマックスを迎えていた。
会場を異様な熱気が包み込んでいる。
「しまった!遅かったか!」
アナウンスを聞いて、セッツァーの顔色が変わった。
「まだだ!ヘイスト!」
エドガーが素早くセッツァーに加速魔法をかける。
「諦めるのはまだ早いぜ!バニッシュ!」
続いてマッシュもセッツァーに透明化魔法をかけた。
「行くぞ!」
透明化したセッツァーが、ステージへ向かってダッシュする。
「そして最後の商品です!」
ステージの上に『目玉商品』が運ばれて来た。
「その名も『おしゃべりチョコボ』!!」
アナウンスが終わると同時に、会場内の人々が大きくどよめいた。
「パパー!」
最前列の席に座る小さな男の子が、隣の父親らしき人物の袖を引っ張る。
「何かな?」
「あれ……」
男の子がステージを指差す。
「させるか!サイレス!」
セッツァーの魔法が男の子の言葉を封じこめた。
「やったぞ、二人とも!!」
透明化を解き、振り返ったセッツァーの目に飛び込んできたのは、鬼神のような形相をしてアルテマウエポンを構えていたセリスの姿だった。
「子供相手に何やってるのよ!!!」

その夜、ジドールの上空で三つの流星が確認されたという。
彼らが『おしゃべりチョコボ』を買えたかどうかは定かではない。


―END―

パステル・ミディリンのトップページに戻ります