【第7話】

電話


 海岸から戻って着替えてきたぼく達はまだ個々の部屋は割り当てられていなかったので再度応接間に集まった。香山さんと夏美さんと美樹本さんは山のほうに行き夕焼けを楽しんできたようだ。美樹本さんだけが一人先に戻ってきて香山夫妻はまだ夕焼けを見ているとのことだ。きっと夫婦でロマンチックに過ごしているのだろう。うらやましい。小林さんは、一人で湖に釣りにでかけてたったの1時間半くらいで5匹もの魚を釣っていた。村上さんは観光する気はまったくないらしく一人で応接間にずっといたとのことだった。

 しかし2時間たっても未だに我孫子氏と正岡さんという人は来なかった。キヨさんの話によると最終便の船の到着時間はもう過ぎたそうで二人とも連絡がとれないそうだ。

「どうしたのかな・・・・」

 真理が少し心配そうな顔をぼくに向けた。

「もしかして・・・・船が転覆したとか?」

「みどり、縁起でもないこと言うなよ」

 不安そうにつぶやいたみどりさんに俊夫さんが注意する。

「でも捜索願いを出したほうがいいかもな」

 そんなことを話していたら厨房で料理を作っていたはずのキヨさんが応接間に入ってきた。

「皆様、お食事の用意ができました」

 キヨさんはそういって丁寧にお辞儀をした。

「キヨさん、悪いが電話を貸してくれないか?」

 美樹本さんは席を立ち上がりキヨさんに頼んだ。

「電話・・・・でございますか?」

「あぁ、我孫子氏と正岡さんがまだに来てないそうじゃないか。最後の便で来ないのはおかしいだろ?捜索願いを出したほうがいいんじゃないかと思うんだ」

「そうですね、わかりました。こちらでございます」

 そういってキヨさんは美樹本さんを連れて部屋から出ていった。

 ちょうど入れ替わりで香山さんと夏美さんが応接間に戻ってきた。

「なんや、みんな辛気臭い顔しおって」

「いや、それがですね正岡さんがまだ来てないらしいんですよ。船の到着時間はもうかなり過ぎているそうなんですが・・・」

小林さんが香山さんにそのことを伝えた。

「そら、あかんな」

「えぇ、それで今美樹本さんが捜索願いを出すために電話を借りに行きました」

 5分くらいたったあと、キヨさんと美樹本さんが戻ってきた。美樹本さんは困った顔をしていた。

「どうでした?警察に連絡がとれました?」

 ぼくは美樹本さんに聞いてみた。

「う〜ん、それがな・・・電話が通じないんだ」

「電話が通じない!?」

 みんながいっせいに声をあげる。

「あぁ・・・・電話線が断線しているみたいなんだ。さっきキヨさんが我孫子氏から電話で、遅れると連絡がきたときは電話が通じていたそうだが。困ったな・・・・・」

 電話線が突然断線?どこかで聞いたような話だ。そういえば、かまいたちの夜のゲームでもそういうシーンがあったような気がした。

「キヨさん、他に電話はないんですか?」

 真理がキヨさんに尋ねだ。

「えぇ・・・・申し訳ありません。この三日月館に1つの電話線しかございません・・・」

「携帯電話はどうなんや?」

 香山さんは携帯電話をとりだした。

「あかん・・・・電波が届かへん」

「無人島だったところですからね」

「ちょっと僕見てきます。簡単な断線なら直せるでしょう。みなさんは先に食事をとっていてください」

 美樹本さんはそう言って部屋をでていった。


第8話 食事

前ページ:第6話 「水着」に戻ります

目次に戻ります

パステル・ミディリンのトップページに戻ります!