【第372話】

はぐりんが語るスライムの歴史13


ホビットのおじさんは、度への祈願と友好の証として

僕たちに幸せの靴をくれた。

それは魔力を帯びているもので、持っていると少し幸運がおとずれるらしい。

おじさんの心遣いがとても嬉しかった。

天上界ってなんていいところなんだ。




ホビットさんとの別れが終わったあと、ルビス様は笑顔でボク達を見た。


「私からもあなた達に贈り物があります」


そういうと、ルビス様は手を振りかざした。

ルビス様から光がそそぎ、ボクらを照らした。

その光はバブルスライムだったボク達の身を清めた光と同じようなものだった。


その光がやんだあと、ボク達はお互いの体を見た。

前のように体の色が緑から銀色に変わるような変化はなかった。

でも、なんだか身体がすこし軽くなったような感じがする。


「下界の危険に巻き込まれるかもしれません。

だからあなた達に魔法をかけました。

まず普通の武器では簡単には傷をつけられないような物理防御の魔法、

どんな魔法攻撃も受け付けないように魔法防御の魔法です。

これによりあなた達の体は自分の持つ体の柔軟さを持ちつつ、

ミスリルのような強固な体を持ったことになります」

「へぇ〜〜!!!」


ボク達の体は相変わらずブヨブヨしているのだけれど

そんなに体が硬くなったのがちょっと信じられなかった。

でもルビス様が嘘をつかれるわけがない。

きっとそうなったのだろう。

「次にどのような敵からも逃げられるよう、身体能力を極限まであげる魔法をかけました。

身体が軽くなっているはずです」


「へぇ〜〜!!!!!!!」

さっきから身体が軽くなったのは、だからだったのか。

ボク達はまた驚きの声をあげた。

「それと、自衛手段として魔法も授けました。

どうしても逃げ切れず危なくなったら、ギラと唱えなさい。

あなた達を守ってくれるでしょう。

…私ができるのはこれまでです。

後はあなた達次第…」

ルビス様は、ボク達に精一杯の加護をくれた。

「ありがとうございます、ルビス様」


「下界を見て、もっと世の中のことを知ろうと思います」


そういい残し、ボクたちはルビス様の力により再度下界に戻ってきた。


第373話 俗物

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