第3幕 下町人情物語

 

一行は有名な浅草寺雷門前にいた。

上野から地下鉄銀座線で3駅。

近いものである。

そういえば、東京の地下鉄(営団のこと。都営は除く。)は,他の都市に比べるとその値段の安さは別格である。

初乗り160円、かかっても200円強

他の都市では考えられない。

他の都市は軒並み初乗りで200円というのに。

さすがは地下鉄唯一の私鉄。

その分だけ、国家・地域権力運営とは違うということか。

ともあれ、このことは東京が全国に誇れる事項の一つであろう。

浅草に降り立った我々はさすがに日曜ということもあって、多い人混みの中を浅草寺に向かったのであった。

で、浅草寺

噂には聞いていたがこれほどまでに人が多いとは。

さすがは日本といえば浮かんでくる光景の一つ雷門のみで引き返そうかという案も出たが、せっかくここまで来たのだから奥まで行ってみようということになった。

しかし、ここから人混みを突っ切っていくのは、当たりの弱さ故の体力消耗と、はぐれてしまう危険性がある。

そこで裏道を抜けていくこととなった。

う~ん軟弱な我々()

さすがに裏道は空いており、楽々正門前まで。

と、そこで何故今日がこれほどに混んでいるか、その理由が判明した。

何とかの有名な「羽子板市」と日程が重なってしまったためであったのだ。

なるほど、こりゃ多いわけだわ。

そう思いつつ本堂の方へ向かう。正門を抜けて本堂とのちょうど途中にこれも有名な、

煙を頭に浴びると頭が良くなる、というヤツ(なんちゅう説明())

が、あった。

信仰心がまるでないは、全くこれをシカト。

安田さんも同様のようで、こういうものは信じていない、とおっしゃられていた。

で、本堂。

う~む、ここも人で一杯だ。

とりあえず形式儀礼だけでも行っておくかと、賽銭を出すために財布の口を開けてみる。

小銭は…と。

おぉ1円玉100円玉

うむ!!

1円玉でよい()

わずか1円の賽銭を賽銭箱に放り込み、手を合わせる。

5秒。

終了()

ふと隣を見てみると、安田さんが真剣にお祈りしている。

うむ。

やけに長かったな。

何を祈ったのだろうか?

やはり恋愛??()

またこのとき、M365さんは人混みをかき分けられなかったために、後方から賽銭を投げ入れた。

が、その賽銭が前方にいた人の頭に直撃したらしい。

幸いにして大事には至らなかったようだが。

怖い人(や~さん())じゃなくて良かったのう。

さて雷門へと戻るとしよう。

また裏道を通るか。

と考えていたが、ここで安田さんが英断!

人混み溢れる本道を通って戻ろうということになった。

なるほど。

関西遠征隊はいうに及ばず、関東人たる我々も、滅多に来るところではないこの場所。

これを機に活気溢れる下町人情に少しは触れるのもいいかもしれない。

こうして我々はパステルミディリン突撃隊と化し、人混みの中へと突貫したのであった。途中羽子板市の屋台達が目に入る。

なるほど、これが、かの有名な…。

屋台の前はさらに人に溢れていた。

活気が溢れている。

こちとら江戸っ子でい!!とのかけ声が聞こえてきそうだ。

羽子板も凄く大きいものから普通のサイズのものまで千差万別であった。

絵柄もまた、オーソドックスな、江戸の美人画的なものから、今年活躍した有名人のものまで。

その中に西武の松坂の板まであった。

うむ、さすがだ。

大体これらっていくらぐらいするのだろう、と思い、ふと値札を見てみる。

すると…。

非売品

おい!!

売らないんなら置いておくなよ!!!

思わず突っ込みたくなった冬の夕暮れであった…。

雷門到着。

振り出しに戻ったのであった。

私の恋と同じである(ばーい長渕())

この後は、水上バスによって隅田川をくだり海へ。

東京湾の日の出桟橋に出る手筈となっていた。

早速、雷門より人混みをかき分け、水上バス乗り場の方へ移動。

途中様々な土産物屋がある。

さすがは日本の観光地である。

しかし、雷門のテレカとかならまだわかるが、何故に土方歳三のテレカも一緒に売られていたのであろうか?

浅草で唯一且つ最大の疑問であった。

水上バス乗り場へ到着。

ここからはしばし船の旅というわけだな。

切符を買って、颯爽と船に乗り込む。

そして発進。

私はこれまでこのような川下り的な船には乗ったことがなかった。

阿寒湖芦ノ湖のような湖観光遊覧船ならば乗ったことはあったが。

故に、これは貴重な体験であった。

水上バスは背が低く、横に長い。

何故このような形なのか?

恐らく隅田川の特色に起因しているのではなかろうか。

隅田川には背の低い橋が非常に多くの量、架かっている。

これらの下を通過するにはやはりそれ以上に低い船高でなければならない。

また、隅田川は、東京湾よりの直の下流。

潮入がかなり激しいはずである。

この勢いに負けないためにも、船幅を広くして、船の安定感を充分に上げてあるものと思われる。

船は浅草の船着き場を出てすぐ吾妻橋を通過。

かの有名なあのモニュメントをのっけたビルがあるところである。

アレは船内放送曰く、アサヒビールの本社ビルだそうだ。

何でも金色の雲を象っているとか。

しかし、どう見ても金色のアレに思えてしまうのはだけではあるまい()

などとおバカなことを考えているウチに、船は行く。

ここで、ついに、ダウン。

睡眠欲がピークに達してしまい、しばしの間仮眠をとらせてもらうこととなった。

軟弱者め!!

いきなり寝てしまい安田さんをはじめ、ご一行様、失礼しました。

約30分ほど経ったであろうか。

が目覚めるとすぐに、船は日の出桟橋へ到着。

船からの光景を全く楽しめない愚か者を含む一行は、下船後、とりあえず浜松町駅へ向かい歩き出す。

この後は東京タワーである。

東京タワー浜松町駅を挟んで日の出桟橋と全く向かい側方向である。

故にひとまずは浜松町駅へということになったのだ。

途中東芝本社ビルの横を通過したため、かの有名な東芝事件の事などを雑談しながら、浜松町駅へ到着。

ここからサンシャイン40byスペアリブさん(()・本当の名前は浜松町貿易センタービル)を抜け、芝大門をくぐるとその先には、日も大きく傾きすでにライトアップが施された東京タワーの壮大な姿が現れた。

関西人の藤原さんもこの姿を絶賛。

かの有名な大阪名物の通天閣以上だと言われた。

ところで、あの通天閣とは東京タワー京都タワー福岡タワー(タワーつながり()横浜のランドマークタワーどう考えてもビルなので却下())の如く中を上まで上ることが出来るであろうか?

札幌のテレビ塔共々私の中では大いなる謎である。

また、この行軍中、安田さんが東京タワーのおみやげについて講釈

東京タワーの貯金箱と、作り終わった後その達成感よりも、「何やってるんだ、俺?」という虚脱感が大いに高揚するという東京タワーのプラモデルを推奨。

M365さんがそれを聞き入っていた。

本当に買うのかな?

また東京タワーの土産という点では、私は東京タワーの模型(金色())もこれに加えたいところだ()

そうこうしているウチに東京タワー直下へ到着。

M365さん曰く、

タワーだけでなく、ちゃんとその下に建物あるんですね。

あります!!

なければビジュアル的にしょぼい()、エレベーターの発進口を作ることは出来ない故ね。

そのタワービル(4階建て())に入ろうとする。

と、その時、

は殺気を感じた!!

そこには、地獄の門番よろしく、東京タワーのマスコット(名前不詳())が身構えていた!!(いや立っていただけだろう、という突っ込みは却下!!!())

ピンクのとんがり頭を持つ異様な体型。

は内心、慄然としていた。

さらに近づいてみる。

柘植流格闘術をもって、一撃にて葬り去るか…。

と、いきなりヤツはこちらに向き直る。

ヤツからピンク色の闘気が上がった!!

くっ!!

ダメだ。

ヤツにはかなわない。

身の程知ったるではかなわぬと見て、は思わず敬礼をしてしまった。

無念だ…。

するとヤツは思わぬ行動に出た。

敬礼を返してきたのであった!!

う~む。

出来る…。

こうして宿敵たるヤツとの闘いは不戦敗に終わったのであった。

(核爆)

一連の死闘()を越え、何とかビルに入った我々は、入場料を購入する。

高い!!

800円強もする。

ただエレベーターを動かし、我々を運ぶだけだというのに…。

100円ぐらいでいいだろ!!

勝手な憤怒を胸に秘め我々は、神秘の塔、東京タワーへと上るのであった…


第4幕 「パステルミディリン弱点記」へ行くのぉ~~